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13726. 匿名 2024/05/07(火) 18:08:35
>>13133
(コメント、プラポチありがとうございます✨)
「大盛りご飯と恋の炎」⑤
それから数日が過ぎ、新しい週が始まった。
今日も煉獄さんに食堂で大盛りのご飯を手渡す。
「この前教えて貰った通りに作ったカレーが上手く行って、皆大満足だった。ありがとう!」
「いえいえ、それは良かったですね。はい、ご飯大盛りです!」
カウンターが落ち着いて来た頃、食事を終えた社員さんに呼び止められた。
どうしたのかと聞けば、お茶のポットやプラスチック製の湯のみが置いてある金属製のワゴンの溶接部分にヒビが入っていると言う。
見に行ってみると、確かにハンドルと本体の接続部分にひび割れのようなものが見える。こういうのって修理出来るのかな?とりあえず総務にでも聞いてみようか?うーん…
「さっきからずっとワゴンを凝視しているが、どうしたんだ?」
まさか煉獄さんにワゴンを眺め回している一部始終を見られていたとは!小っ恥ずかしいと思いつつ状況を説明し、問題の箇所を見てもらった。
「恐らく溶接の不良だろう。これはステンレス製だし現場の設備ですぐに直せるはずだ。ガル山さん、明日の朝30分程早く出勤して来られるだろうか?」
「あっ、はい。いいんですか?」
「では、俺がワゴンを現場まで運ぶからここで待っててもらえれば」
「わかりました、よろしくお願いします」
そして翌朝。食堂の入口までワゴンを出していると煉獄さんがやって来た。溶接班の現場までワゴンを押してもらい、到着するとファイヤー柄のヘルメットのような物を手にした。
「そのヘルメット、煉獄さんの髪の色と似てますね」
「これはヘルメットではなくて溶接面と言うんだ」
「溶接面ってもっと地味って言うか、何かイメージ違います」
「一般的な物の事だろうか、あのタイプを使う人も勿論居るが小物でモチベーションを上げようとこだわる者も多いんだ。そこの棚を見てごらん」
壁際の棚には所狭しと溶接面が並んでいる。髑髏に稲妻、星条旗やイーグル…男性が好みそうな柄ばかりだ。
危ないからここに居るようにと案内された資材置き場で出してくれたパイプ椅子に腰掛け、煉獄さんが作業する姿を遠くから見つめる。
バーナーの炎を操る姿から目が離せない。溶接面の下の眼差しはさぞかし真剣なんだろうと思うと愛おしい気持ちが込み上げた。
続く+24
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13727. 匿名 2024/05/07(火) 18:10:30
>>13726
「大盛りご飯と恋の炎」⑥
「もう大丈夫だ。確認してもらおう」
作業を終えた煉獄さんに呼ばれてワゴンを見に行くと、ヒビはすっかり消えていた。
「綺麗になりましたね、ありがとうございます!」
「いつも美味しいご飯を出してくれる君達の役に立てて何よりだ」
直してもらったワゴンは昼休みから早速活躍している。
そして煉獄さんが食堂に姿を見せた。
「これ、食堂の皆から今日のお礼です。ささやかですが、ご飯大盛りの代わりって事で。お蕎麦にも別で一人前の天ぷら乗ってますから沢山食べてくださいね」
今日のメニューは天ぷら蕎麦。そこに乗せる一人分の天ぷらにさつまいもの天ぷらを更に2枚足したお皿を煉獄さんの持つお盆に乗せた。
「そんな気を使わなくても良いが、天ぷら二人前とはありがたい。遠慮なく戴こう。皆さんにもよろしく伝えておいてもらえるだろうか」
「はい!」
昼休み終了の5分前。食堂に静寂が戻り、テーブルを拭いて回っていると床に一枚の紙切れが落ちているのに気が付く。拾い上げるとそれは地元の洋菓子店の注文票だった。注文者の欄に力強く書かれた名前を見た途端に心臓の音が速くなる。
(煉獄さんだ)
更に注文内容が見えて指先が震えた。
「季節のフルーツタルト4号 バースデープレート付き【お誕生日おめでとう せんちゃん】」
(せんちゃん…4号のホールケーキは2〜4人分。間違いなく彼女だよね、煉獄さんなら半分以上平気で食べられるはずだし)
おまけに受取日は今日の夕方になっている。退勤後にその足で取りに行くのだろうし、今頃注文票を失くした事に気が付いて困っているかもしれない。
『せんちゃん』にジェラシー感じちゃうけど、人としてこれはちゃんと届けなくちゃ。
でも気になる…せんちゃん…
続く+23
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13728. 匿名 2024/05/07(火) 18:10:54
>>13726
読んでます!溶接士と煉󠄁獄さんがとてもマッチしていますよね!続きも楽しみです🔥
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