ガールズちゃんねる
  • 13696. 匿名 2024/05/07(火) 16:48:29 

    >>11163
    「お茶」 🐰⚠️老後

    すっかり桜も散ってしまったな。
    ───ええ、でも今年も錆さんと桜が見られて幸せだわ。
    そんな会話をしたのはとうの昔。

    「お茶を淹れてくれないか」
    「新茶をこの前頂いたの!それにしましょう」
    庭を彩る新緑の葉のように、鮮やかな色のお茶を淹れてくれた。
    「…錆さん。あの時、私を助けてくれてありがとう」
    この時期になると、鬼に襲われそうになったあの夜を思い出すのだろう。
    俺は黙って手を握り、もう大丈夫だ、と安心させた。

    「…ガル子。お茶を淹れてくれないか」
    当然、応えはない。
    ガル子がまだ元気な頃に、茶の淹れ方を教えてくれた。
    ガル子が病床に臥せるようになってからは、俺が淹れるようになった。

    「いい香り…。はぁ…美味しい。錆さんが淹れてくれるお茶は美味しいわ」
    俺が淹れた茶は、いつも濃すぎて美味くないのに、美味しいと笑顔を見せた。
    男が茶なんか淹れられるか!と、怒鳴った事もあった。
    なんて小さい男だったのだろうと、若き日の自分を恥ずかしく思う。

    今年も新茶の季節だ。
    揃いの湯呑みに茶を注ぎ、縁側に独り、腰を下ろす。
    誰もいない左側に赤い湯呑みをことりと置いた。

    ───錆さんが淹れてくれるお茶は美味しいわ

    そんな声を心の中で反芻して、孤独を紛らわせた。

    自慢の宍色の髪もすっかり白髪だ。
    「お前の白髪になった姿も、見たかった」
    茶をすすり、良く晴れた天を仰ぎながら独り言ちた。

    ───もうすぐだ。俺もあと数年でお前の所に行く。
    待っててくれるよな?俺の女なら。

    そんな事を思いながら、濃くて苦いだけの茶を飲み干した。
    ガル子が淹れた茶が飲みたい…。
    やはり俺の淹れる茶は、どうも美味くない。

    +32

    -5

  • 13737. 匿名 2024/05/07(火) 18:37:57 

    >>13696
    うぅ…切なくて温かくて…めちゃくちゃ好きです…🥲
    誰もいない左側に湯呑みを置く錆さんに胸がギュッとなりました

    +20

    -4

  • 16098. 匿名 2024/05/11(土) 14:35:42 

    >>13462
    まとめの場をありがとうございます!

    🐰推しです。長文一つもないし少ないです。

    【お題回答】
    >>2988  「写真館」🐰
    >>4004 「銀行口座」💜
    >>4129 「社歌」
    >>5929 「ナンパごっこ」🐰
    >>13696 「お茶」🐰
     
    【お迎え】
    >>6846 🐰

    プラポチ、コメントありがとうございました!
    通りすがりに読んで下さった方もありがとうございます!
    社歌なんて、こんなの🌾つかないだろうな〜と思っていたのに、何人もコメ神様がいらしてくださりありがたかったです。
    笑ってもらえてよかった!
    ちなみに替歌ではないですw

    💜は、前日に玄弥が夢に出てきたので、玄弥のお話書いてみたいな〜とお題を漁っていて「銀行口座」で唐突に思いつきました。
    自分で書きながら「うはーっ💜玄弥可愛い!」と萌ちらかしました。
    ありがとう玄弥!
    ちなみにどんな夢だったかというと、玄弥がコピー用紙をただひたすら蛇腹折りにしてる謎な夢でしたw

    沢山のガル子さんたちのお話読んでキュンキュンしたり笑ったり、二次絵や写真もホワホワがいっぱいで楽しかったです。
    全てのガル子さん、ありがとうございました❤


    ※懺悔※
    すみません、出戻りです…しれっとpart14から…
    もうすぐ錆兎が観れる!と思ったら参加せずにはいられなかったw
    part14で「無機物」
    part15で「ヤカン目線」「彼の秘密」「過去パートの続き」「140字🐚」「句会」を書きました。
    もうね…なんかほんとすみません…
    今後もしれっと参加するかしないかはわかりませんが、またトピ立ってたら遊びに来ます☺

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