-
13499. 匿名 2024/05/07(火) 01:48:09
>>13498
【神を自称する者よ】⑨
「お主のせいではない…我の我儘でやったことよ」
背に回された腕で背をぽんぽんと叩かれ身体を離すと宇髄はいつかとは逆に女の目を覗き込む
「言えよ、あるんだろ?あんたが消えなくて済む方法が」
「何を世迷言を…」
「わかんだよ。あんたはいつも飄々として感情が読めなかったが…今は分かる。なあ、言ってくれ…頼む……俺をこれ以上格好悪い男にしないでくれ…」
女の手が宇髄の頬を撫ぜる
「相分かった…聞いた上でお主がどのような判断をしても我は構わぬ 一瞬でも迷うたなら即森を去れ 良いな」
「わかった、それでいい」
「ならば”約束“をしようぞ…言わば神との契約じゃ 破ることは出来ぬ 我の話を聞いてお主が迷いを見せれば即刻森の外へ弾き出される ではお互いの真名を告げ契約を交わすぞ──我の真名はガルハナノミコト」
「俺は宇髄だ、宇髄天元」
「天元…良い名じゃの では天元 我が消えずに済む方法を教えようぞ─何簡単じゃ 我を人に堕とせばよい」
「神を人に…どうすりゃいい」
話して聞かせてやるから座れと言われ、宇髄は女を膝へ抱え直しその場に座った
「今 我の力が失せ始めたのは 人に肩入れをした罰じゃ…このまま我は消え 浄化され無辜の神として生まれ変わる 罰としてはまだ軽いほうじゃ じゃが神には犯してはならぬ禁忌があっての…それが人間と情を交わすこと…意味はわかるであろ 人と情を交わした神は人に堕とされ その人間の傍で人として一生を過ごす 但し─その人間が他の者と情を交わせば 神であったものは跡形もなく消え 無になり その人間もまた地獄へ落ちる 神を人に堕とすというのはそれだけ罪深い行為じゃ」+19
-7
-
13502. 匿名 2024/05/07(火) 01:55:00
>>13499これで終わりです読んでくださった方ありがとう!
【神を自称する者よ】⑩⚠️ほんのり🐚風味
「わかったら我を置いて去れ…まだ若い身空で背負うものではあるまいよ」
そうして膝を降りようとした女だったが宇髄の腕に阻まれた
「ここであんたを抱いて一生俺のものにすりゃいいんだろ?簡単じゃねえか」
「天元 お主我の話しを理解して…いや聞いておったか?」
「ああ、願ったり叶ったりだな。俺は二度と大事なものは取りこぼさねえと誓ったんだよ。悪いがアンタを人に堕として一生俺の側に置く、いいな?」
「ほんに…いつの間にか大きな男になりよって 良かろ…お主と契り 邪魔になればいつでも消えてやろうぞ──」
「消えさせねえよ…」
そして二人の影が近づき─重なった
音柱邸
あれから一週間が過ぎ、隣で静かに寝息をたてているのは禁忌を犯してまで手に入れた愛しい女。
あの日二人が身体を重ねた後、女の髪は艶やかな黒に…瞳は黄金色のまま虹彩だけ丸く変貌を遂げた。
「これで私は神ではのうなった。そしてお主は神を堕とした男じゃな。どうじゃ、私の代わりに神でも名乗るか?天元」
心底愉快そうにそう言って笑った女はとても美しかった
布団に散らばる髪をひと掬いし口づけて、名残惜しそうに布団から抜け出すと隊服を身に纏い、飾りのついた鉢金を巻き、大振りな双剣を背に任務に向かう
「いいかお前ら!俺は派手を司る神…祭りの神だ!」
終幕+24
-8
削除すべき不適切なコメントとして通報しますか?
いいえ
通報する