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13413. 匿名 2024/05/06(月) 23:11:17
>>12595
⚠️お奉行様🐚④
⚠️なんでも許せる方向け
⚠️自己満
⚠️焦る……💦✍🏻
だが、御館様の寵を受けたところで、下働きの身分は変わらない。
掃除や洗濯などの雑用に精を出す日々だ。
御館様には旗本の出である奥方様の他にも数人、側室や妾という存在がいるようだったが、しがない町娘の私がそのような処遇に預かることなど到底望めなかった。
しかしそうではなくとも私は幸福であった。
私の生家のような、裕福ではない者たちにも心を砕いてくださる御館様にひと時の間だけでも愛でられていると思うと、どこか誇らしい気持ちにすらなった。
だから、外野の妬みや蔑みの言葉などはどうでもいいことだった。
だが御館様はそうではなかったらしい。
「そなたには苦労をかけておる」
「そんなことは……」
私は頭を振るが、御館様はそんな私のあかぎれだらけの手を取った。
「なにか願いはないのか」
「……願い」
「左様」
私の願い。そんな些末なことにまで心を配ってくださるとは、と心が震えた。
「申してみよ。そなたの願いを叶えてやろう」
御館様におねだりをするなど烏滸がましいにも程がある。というよりも、使用人として使われていることに慣れきってしまったこの身体が己の思考を奪ってしまったようで、咄嗟に思い浮かばなかったのだ。
御館様は怜悧な相貌を崩して笑った。
「思い浮かばぬとはな。……左様か、ならば思いついた時に申し伝えてくれれば良い」
私はその言葉におずおずと頷いた。
だが、私の願い事はそんな出来事があってからすぐに悪い形で実現した。
続く+21
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13415. 匿名 2024/05/06(月) 23:14:15
>>13413
🐚
読んでます📖+14
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13417. 匿名 2024/05/06(月) 23:17:15
>>13413
今ちょうど、一つ前のお話へのコメントしようとしていたところでした!
初心な少女が次第に愛を知っていく様子にドキドキすると同時に少し切なくて…多くを求めない彼女に何があったのか気になります+13
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13852. 匿名 2024/05/07(火) 21:29:48
>>13413
⚠️お奉行様🐚⑤
⚠️なんでも許せる方向け
⚠️自己満
🫶コメント、プラス感謝です🙏
「──宿下がり?」
「はい」
実家から、文が届いた晩のことだった。その夜私は御館様の褥に呼ばれた。
夜着に身を包んだ御館様は私の着物の帯を解く手を止めて聞き返した。
「あ、あの……母が病に臥せっているという便りが届いたのです」
何も今この瞬間に言うこともなかろうという後悔と、母への思慕が合わさって私の瞳からは雫が一粒滑り降りていた。
「泣かずともよい、明日にでも母を見舞うてやれ」
そう言って御館様は泣きじゃくる私の背を摩り、引き締められた胸を貸してくださった。
あくる朝、私は腫れぼったい瞼で女中頭に挨拶をし、実家へと向かった。
「奥方様も寛大な御方で良かったねぇ」
とびっきりの嫌味のせいか胸の辺りが落ち着かなかったけれど、私は久方ぶりに外の空気を吸いながら、道を急いだ。屋敷を離れるにつれ街並みは雑多な空気に変わっていく。
だが洗練とは程遠いその雰囲気が私は好きだった。物売りの呼び込みや、どこかから漂ってくる炊事の香り、幼子の泣き声すらも生命に溢れているような気がした。
突然里帰りした私を見て、母は仰天した。「あんた!まさかクビになったのかい!?」と私の肩を掴んで揺さぶる母を落ち着かせるためにご褒美代わりの里帰りだよ、と嘘をついた。
御館様の手がついたことは、母や父には言えなかった。だが後ろめたい気持ちが表情に出ていたのか、両親は私を心配してくれた。
続く+21
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