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13133. 匿名 2024/05/06(月) 20:18:04
>>12618
(コメント、プラポチありがとうございます!🙏)
「大盛りご飯と恋の炎」④
煉獄さんが車を正面玄関まで回して来てくれてモブ崎さんが助手席に、モブ美先輩と私は後部座席に乗り込む。大きい車とは聞いたけれど、なるほど。街中でもよく見かける人気のSUVだ。
「さて、出発しよう。ところでガル山さんの家はどの辺りだろうか?」
「壱ノ町です」
「なら、モブ崎が参ノ町、モブ美ちゃんが弍ノ町だからルート的に最後になってしまうがそれでも良いだろうか?」
「全然平気です!送って頂けるだけでありがたいですから。よろしくお願いします」
大きい通りを避けながら煉獄さんが車を走らせ、10分ほどでモブ崎さんの家に、そこから更に15分ほどでモブ美先輩の家へと到着した。
「先輩、ありがとうございました。後はガル子ちゃんの事よろしくお願いしますね」
「ああ。モブ田によろしく言っておいてくれるか」
「はい、週末にキャンプ行くんですよね?お兄ちゃんに聞きましたよ」
モブ美先輩が降りて、煉獄さんと二人きりになってしまった車内。自分は後部座席に居るとは言え、初めての状況…何か話した方がいいのか、黙っていようかと迷う私の様子を察したかのように煉獄さんが話し掛けてくれる。
「今日の昼食の焼き魚に付いていた猫の形の大根おろしは、ガル山さんのアイディアだったと聞いたが?」
「えっ、パートさんに聞きましたか?実は煉獄さんがヒントになったんです」
「俺が?」
「はい、お昼に食堂に来る時の煉獄さんってパッチリした目がキラキラしてて、前髪の感じも耳っぽく見えるし猫みたいだなって思ってて」
「ライオンのようだとは時々言われるが、猫と言われるとはな」
「何かこう、可愛いなぁって…すみません!」「ハハッ、構わない。俺がそんな風に見えているとは自分ではわからないから面白い」
煉獄さんが笑って、バックミラー越しに見える目が少し細くなる。その優しい表情に幾分緊張も解れた。
「そういえば、モブ美先輩のお兄さんとは仲良しなんですね」
「うむ、モブ田も含めて高校時代のクラスメイト達でよくつるんでいてな。そうだ、栄養士のガル山さんに折角だから聞いてみたい。キャンプでカレーをよく作るのだが、少し目先が変わって栄養も申し分ないような調理法はないだろうか?」
(どうしよう?キャンプだから簡単さ優先だよね…そうだ!)
「そうですね、玉ねぎとお肉だけでルーを作ってグリルで焼いた野菜を上にトッピングするのはどうでしょう?かぼちゃ、アスパラ、パプリカとか。野菜の栄養が逃げにくくて見た目も華やかになると思います」
「それはすぐに実践出来そうだ、ありがとう!」
そんな話をしているうちに家の前に着いていた。
「煉獄さん、本当にありがとうございました」
「俺の方こそガル山さんと話しながらで楽しい帰り道になった。ありがとう。俺はこの先の伍の町だからあと少しだ。ではまた明日!」
煉獄さんの車が見えなくなるまで見送り、ホッと一息つく。
話してる時の言葉一つ一つがとっても優しくて、煉獄さんの事が更に好きになっちゃったな…
続く+30
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13171. 匿名 2024/05/06(月) 20:44:46
>>13133
きゅんきゅんしながら読んでます🔥煉獄さんかっこいいですー💕続きも楽しみにしてますね✨
+17
-3
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13726. 匿名 2024/05/07(火) 18:08:35
>>13133
(コメント、プラポチありがとうございます✨)
「大盛りご飯と恋の炎」⑤
それから数日が過ぎ、新しい週が始まった。
今日も煉獄さんに食堂で大盛りのご飯を手渡す。
「この前教えて貰った通りに作ったカレーが上手く行って、皆大満足だった。ありがとう!」
「いえいえ、それは良かったですね。はい、ご飯大盛りです!」
カウンターが落ち着いて来た頃、食事を終えた社員さんに呼び止められた。
どうしたのかと聞けば、お茶のポットやプラスチック製の湯のみが置いてある金属製のワゴンの溶接部分にヒビが入っていると言う。
見に行ってみると、確かにハンドルと本体の接続部分にひび割れのようなものが見える。こういうのって修理出来るのかな?とりあえず総務にでも聞いてみようか?うーん…
「さっきからずっとワゴンを凝視しているが、どうしたんだ?」
まさか煉獄さんにワゴンを眺め回している一部始終を見られていたとは!小っ恥ずかしいと思いつつ状況を説明し、問題の箇所を見てもらった。
「恐らく溶接の不良だろう。これはステンレス製だし現場の設備ですぐに直せるはずだ。ガル山さん、明日の朝30分程早く出勤して来られるだろうか?」
「あっ、はい。いいんですか?」
「では、俺がワゴンを現場まで運ぶからここで待っててもらえれば」
「わかりました、よろしくお願いします」
そして翌朝。食堂の入口までワゴンを出していると煉獄さんがやって来た。溶接班の現場までワゴンを押してもらい、到着するとファイヤー柄のヘルメットのような物を手にした。
「そのヘルメット、煉獄さんの髪の色と似てますね」
「これはヘルメットではなくて溶接面と言うんだ」
「溶接面ってもっと地味って言うか、何かイメージ違います」
「一般的な物の事だろうか、あのタイプを使う人も勿論居るが小物でモチベーションを上げようとこだわる者も多いんだ。そこの棚を見てごらん」
壁際の棚には所狭しと溶接面が並んでいる。髑髏に稲妻、星条旗やイーグル…男性が好みそうな柄ばかりだ。
危ないからここに居るようにと案内された資材置き場で出してくれたパイプ椅子に腰掛け、煉獄さんが作業する姿を遠くから見つめる。
バーナーの炎を操る姿から目が離せない。溶接面の下の眼差しはさぞかし真剣なんだろうと思うと愛おしい気持ちが込み上げた。
続く+24
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