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12098. 匿名 2024/05/05(日) 07:34:42
>>11817つづき
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青と春②
山頂に差し掛かると、家族連れがキャッキャとはしゃぐ声が聞こえてきた。
開けた緑地には、木製の大型遊具が佇み、木漏れ日が楽しそうに踊っている。
なにより、目を惹かれたのは──
「ローラー滑り台だぁ!見て見て不死川!」
「うわっすげえ!こんなん出来たんだなー」
「やりたい!一緒に滑ろ!」
「めっちゃ目ぇキラキラさせてんなwつーか、俺はいいけどよ、お前そのカッコで滑れんのか……?」
そう、制服の私はもちろんスカートだ。おまけにウエストでたくし上げているときた。
「だめ、かなぁ……」
肩を落としていたら、徐ろに不死川がブレザーを脱ぎ始めた。
露になったワイシャツ姿は、汗が滲んで肌に張り付き、中のインナーがくっきり浮かび上がっていて。見た目はスラッとしてるのに意外と筋肉質で……一瞬心臓がトクンと跳ねる。
「ほれ!これ腹に掛けとけば滑れるだろ。ちょい汗くせーかもしんねえけど」
「…いいの?汚れちゃわない?」
「気にすんな。もうすぐ衣替えだしよ。それにあっちいし!」
照れ臭そうにおどけて舌を出しながら、パタパタ手で仰ぐ不死川の、もう一方の手にあるブレザーを素直に受け取る。あぁそうこの感じ、不死川のいい香りがする。好きなんだよな、この香り。
「ありがと不死川。」
「おう!」
眉を下げてニヒヒと笑う顔が、眩しい。
*🐝*🐝*
「……いくよ?せーのっ!」
\\きゃぁ━━━━!!!!//
スタート地点に座り、手で漕ぎながら勢いよく滑り出す。
私が前で、不死川は後。
最初こそなだらかなコースだけど、次第に傾斜がついて、ぐんぐんスピードが上がってゆく。
晴れ渡った空の下、さわやかな風を切って走る。ここまで苦労して到達した疲れがぜんぶ吹っ飛んじゃうくらい、気持ちがいい。
「うをッ!ガル田おっせーよ!」
「わぁ〜ごめんごめんw」
少し離れてスタートしたはずなのに、気付くと真後ろに不死川が来ていた。
図らずも、足が長い不死川に後ろから包み込まれるような格好になり、おしりに敷いていたはずのマットもぴったりくっついているではないか。
━━なんか、なんか…!これって俗に言う“バックハグ”っぽくて、変に意識してしまう自分がいた。
(一旦切りますᨒ𖡼.𖤣𖥧)+28
-8
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12099. 匿名 2024/05/05(日) 07:39:54
>>12098つづき
⚠️🍉
青と春②-2
「っっあ……!なんかごめっ///わざとじゃねーから」
「///……いいの、全然大丈夫!むしろくっついて滑ればスピード速まって最高!なんてね」
「……ふははwだなー!」
その後もはしゃぎながら、あっという間にゴールに辿り着いた。
胸がドキドキしてるのは、ローラー滑り台のせい、だけではないかもしれない。
「めっちゃ楽しいねぇ!不死川、もう1回しよ!」
「お前それ何回目wいい加減1人で滑れよな」
「やーだ、一緒がいい!」
スタート地点へ上る階段の往復も、なんのその。
私は飽きるほどお願いをした。できるだけ長く、不死川のぬくもりを背中で感じていたくて。
次でラストの予定ですᨒ𖡼.𖤣𖥧+25
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