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11399. 匿名 2024/05/03(金) 22:00:04
>>11394《ア・ポステリオリ》8
⚠️趣味全振り・何でも許せる方向け
「お前さっきニンニク大量に食ってたから『あ、コイツ俺とどうこうなろうって気が全くねぇんだな』って思ったら、今すっげぇ気持ちが楽。
『誘われたらどうやって断ろっかなー』とか考えながら遊んだりとか、妙な雰囲気にならねぇように無駄にはしゃいだりとかしなくてよくて、ただ、もう純粋に今流れてる空気だけ感じとけばいいからさ」
男女問わず、人と関わる全ての時間を、そうやって過ごしているんだとしたら。
きっと、すごく神経を消耗するだろう。
「…ニンニク食べてなかったら?」
「そうだなぁ…まぁでも俺の隣で爆睡してたしな」
「…疲れたんですよ、宇髄さん運ぶの」
笑った宇髄さんが、立ち上がる。
「お前の背中、派手に寝心地良かったわ!」
「……!!起きてたんですか!?」
「いや、寝てたけど。なんとなく覚えてるだけ。……よし!帰るぞ!」
「はぁー!?」
来た道を戻り始めた宇髄さんを、慌てて立ち上がって追いかける。何なのもう…。勝手にラーメン食べに連れ出して、海に連れて行かれて。それでいきなり帰る、って。
でも。
追いついた宇髄さんの横顔を見るとそんな気持ちも消えて、釣られて私も笑ってしまった。
こうやって「帰るぞ!」の一言で何も気にせず帰れることが、宇髄さんにとっては、とても嬉しいことなのかもしれない。
「いいですよ、私も“友達”欲しかったから」
バイクにこうやって二人乗りをしたのは、初めてだったのに。
どこか懐かしくて。
少し寂しくて。
でも、安心できて。
そんな気持ちになってしまったのは、服越しに伝わる体温が、過去の記憶を呼び起こしてしまったからかもしれない。
誰かとこうやって触れ合って笑い合って、心の奥底から解されていくことが、とても心地良いものだということを。
この宇髄さんの背中から伝わる体温が、じわりじわりと私を苦しめることになるなんて。
この時は思いもしなかった。
つづく+33
-8
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11434. 匿名 2024/05/03(金) 22:39:26
>>11399
既に!胸が!痛いのですが?!+19
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12182. 匿名 2024/05/05(日) 11:16:34
>>11399
💎ぬい握りしめてジタバタする準備できてます…🥺
色男が辿り着いた「恋愛めんどくせぇ」が大好物なので、どうぞよろしくお願いします🥺💕+22
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12197. 匿名 2024/05/05(日) 11:51:24
>>11399
ずっと読ませてもらっています☺️
切ない雰囲気...どうなっていくんだろ(*´-`)+20
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12547. 匿名 2024/05/05(日) 22:51:10
>>11399《ア・ポステリオリ》9
⚠️趣味全振り・何でも許せる方向け
“友達”になった、と言っても、一年生と四年生では授業は被らないしやるべきことも違って、大学内で一緒に過ごすことはない。
私は、大学生活や見知らぬ土地での一人暮らしに慣れることにいっぱいいっぱいだったし、宇髄さんは就活や卒論制作が忙しそうだった。
たまに会って近況報告をしながらご飯を食べたり、週末は宇髄さんのバイクに乗って出掛けたり。
一緒にいると、楽しくて気が楽で安心できて、とても居心地が良かった。
そして何より、恋人同士だと発生してしまう様々な煩わしさがなく精神的に安定した状態でいられると、生活全てをスムーズに送ることができるのだと実感した。
宇髄さんが女の人と歩いているのを見かけても、あれは誰だったんだろうとモヤモヤしたり嫉妬したりせずに済むし、毎日連絡がなくても何も気になったりしない。
会えなかった日に「おやすみ」の電話がなくても、誕生日やクリスマスに一緒に過ごせなくても、悲しくなったり、涙を流したりすることもない。
気持ちがすれ違って喧嘩をすることも、価値観の違いでぶつかり合うこともない。
お互い適度に気配りしながら。
甘えない、期待しない。
一定の距離感を保って築く、そんな“友達”という関係は、この時の私にはとても心地よいものだった。
就活も、卒論の提出も終えて時間ができた宇髄さんは、よく「一週間お疲れ様会しようぜ!」と連絡をくれるようになって、週末は二人で過ごすことが多くなっていった。
宇髄さんの家で話しているとあっという間に時間が過ぎていく。それで私はいつも、帰るタイミングを逃してしまう。
「ごめん、眠くて眠くて…。15分だけ仮眠させて ちょっと寝たら復活するから…そしたら帰る」
「いやもうここで寝ろよ。俺ももう眠みぃから送ってくの怠りぃわ」
「ほら、ベッド使っていいから」と寝室の方を指差す宇髄さんを、かろうじて薄く開いた片目で見ながらも、瞼の重さに抗えない。
「ここで…ここでいいから…。15分したら起こして。それ以上寝たら、もう朝まで寝ちゃうかもしれないから…」
リビングの床にごろんと寝転がる私の上から、宇髄さんの楽しそうな笑い声とふわふわのブランケットが降ってくる。
「こりゃもう朝までコースだな」
結局、宇髄さんは起こしてくれなくて。
朝リビングの床の上で目覚める。
「身体が痛い…床冷たい…」
と、寝起きでボサボサの頭をゆるゆると振りながら呻く私を見て、同じように隣で眠ってしまったらしい宇髄さんが笑う。
ただ、それだけのことも楽しくて。
ずっと、こうやっていれたらいいと思うけど。
まだ、夜は嫌な夢を見て目を覚ましてしまう私は、どこかまだ、誰かと深く繋がり合うことにブレーキを掛けてしまっていて。
────だから。つい、確認したくなってしまった。
つづく+28
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