ガールズちゃんねる
  • 11382. 匿名 2024/05/03(金) 21:50:31 

    >>11361⚠️解釈違い⚠️キメ学とパン屋が出てきますが竈門ベーカリー様とは無関係です⚠️何でも許せる方

    『サンドイッチに焦がれて』

    🥪⑶
    嵐のように忙しいキメ学体育祭の日は無事に終わり、涼しい風が心地よく吹き始める頃。
    その日はオープンと同時に予約なしの大量購入のお客様が来店したため、朝からてんやわんやだった。
    あれもこれも売り切れ。製造の人達は急ピッチで翌日分の生地も使って増産できるものは増産している。

    そこに、サーモン王子が来た。まずい。サーモンとオニオンのサンドは売り切れてしまった。

    サンドケースの前で固まる王子。だよね。オープン30分後に来て売り切れの品物があるなんて思わないよね。私だってさっきの人の買い方に固まったもん。売れるのは有り難いんだけどね。

    「お客様申し訳ありません。サーモンのサンドをお探しですよね?本日は開店早々に完売してしまいまして…」
    「そうか。仕方ない。また来ます」
    「あ、あの!」
    「はい」
    「もし宜しければ…1点からでもお取り置き出来ますので。ご迷惑でなければ、本当に」
    王子の顔が、パァッと明るくなったのが分かった。クールって言われてたけど、なーんだ結構表情豊かな人じゃん。

    「では、明日…頼んでも良いだろうか」
    「もちろんです!明日なら私もおりますので!ご来店予定時刻と、お名前ご連絡先だけお伺いしてもよろしいでしょうか」
    「今くらいの時間に来ます。名前は冨岡、電話番号は…」
    「明日7:30頃ご来店、トミオカ様、サーモンとオニオンのサンドが1点ですね。ご用意してお待ちしております!」
    「ありがとう。よろしく頼みます」
    「本日は申し訳ありませんでした。また明日お待ちしております」

    控え目に手を挙げながらこちらを振り返る王子を見送った後、我に返って気付いた。
    明日なら私もおりますのでって、何を言ってるんだ!普通の取り置きなんだから別に誰が対応したって良いじゃないか!担当なんかないのに!やってしまった恥ずかしい恥ずかしい!
    でも…トミオカさんっていうんだ。さすがに連絡先を個人的に控えるわけにはいかないけど。トミオカさん。トミオカさん……その名前を大切に噛み締めていた。

    品出しをしていたモブ川さんが、フフッと笑っていた。

    続く(今日はここまでです)

    +32

    -7

  • 11391. 匿名 2024/05/03(金) 21:56:45 

    >>11382
    今後の展開も楽しみにしてます💙
    王子の名前と連絡先げとげとー!!

    +21

    -5

  • 11582. 匿名 2024/05/04(土) 07:26:29 

    >>11382
    遡って読みました!
    続き楽しみにしてます😊

    +18

    -6

  • 11585. 匿名 2024/05/04(土) 07:33:23 

    >>11382
    売り切れの落胆からの取り置きで確実に買えるとわかったときのパァッの表情よ
    本当に嬉しいんだな&大好きなんだなって伝わってきます
    サーモン王子のサンドイッチへの愛🥪を楽しませてもらっています

    +19

    -5

  • 11593. 匿名 2024/05/04(土) 08:12:01 

    >>11382
    見逃してて一気読みしました☺️
    続き楽しみ〜っ!

    +22

    -7

  • 11599. 匿名 2024/05/04(土) 08:34:40 

    >>11382⚠️解釈違い⚠️キメ学とパン屋が出てきますが竈門ベーカリー様とは無関係です⚠️何でも許せる方

    『サンドイッチに焦がれて』

    🥪⑷
    「えっ!?今日サーモンとオニオンのサンド出ないんですか!?」
    「物流トラブルらしくて今日はサーモンが届かないんだって。厳密に言うと1個は出せるんだけど、予約も無いのに1個だけ作るのもね」
    「そんなあ…」
    「そういうわけで、今日サンドはパストラミと生ハムカマンベールだけ出すから、よろしくね」

    最悪だ。どうしよう。
    だって、今日は火曜日。予約はないけど多分、トミオカさんが来る。

    「…あの、私がサーモン1個作ってもいいですか?今お店すいてますし、お店の様子見ながらやりますから。売れなかったら私が買い取って食べます」
    「うーん……いいよ。今日はこれから雪になる予報だし、のんびりな一日だろうからね」
    「ありがとうございます!」

    私はショップ係といって基本的に売り子だけど、人が足りない時や大口予約のある時にサンド係のヘルプに入ることがあった。なのでサンドイッチ商品の作り方は心得ている。

    10枚切にしたグラハムブレッド2枚にバターを薄く塗り、グリーンリーフを置く。タマゴフィリングを広げ、その上にスモークサーモンとオニオンマリネをたっぷり重ねる。レモンマヨをサッとかけて、粗挽き胡椒を2ひねり。最後にグラハムブレッドを重ねて、両端を親指と中指でしっかり押さえながら縦半分にカット。斜めに包丁を入れて、包丁の重さで切るのがコツ。断面を綺麗に見せるようにフィルムで包んで…。

    トミオカさんがこれを食べるかもと思うと、ちょっと緊張する。
    これは、私がお昼休憩に食べる分として取り置いて、もしトミオカさんが来たら出そう。来なければ、私が買い取って食べよう。

    ウィーン…
    お店の自動ドアが開く音がした。

    「いらっしゃいませ」

    来た!やっぱり来た!
    冷蔵庫から例のサンドを取り出して、プライスカードと一緒にサンドケースに持っていく。

    「サーモンとオニオンのサンドイッチ、出来立てです」
    「ああ、良かった。これを」
    「かしこまりました。ではレジへお願いします」
    良かった。この人が残念そうな顔をするのを見たくなかった。今日はこれだけでハッピーな一日になりそうだ。

    「現金でよろしいですか?」
    「…すまない、やはり今日は辞めておく」

    続く

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