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10832. 匿名 2024/05/02(木) 20:58:49
>>10819
⚠己の趣味に全振り
⚠諸々解釈違い多々有り
⚠何でも許せる方向け
「おなじ星」🌫 第7話
里での戦いの後、蝶屋敷で療養し
今夜からの任務の許可が降りるなり
まだ開けぬ夜の中を無一郎は駆け出した
すべてを思い出した今
一刻も早くがる羽の元へと──
二人は失ったもう一人を
その隙間を埋め合うように
惹かれ合ったのだと今はわかる
朝方任務を終えると
彼女の家へ帰る
川辺を歩くともう朝ご飯の良い匂いが漂ってきて
俺はいつの間にか足を早めている
腹を空かせた胃袋もだが
彼女に早く逢いたくて逢いたくて──
無一郎はもう夜の中に一人でいても
孤独を感じることはなくなった
俺を待つ人がいる──
それだけでこうも変わるものなのかと自分でも可笑しくなる
だが守りたいと思える人ができてから
なお一層この任務に誇りを持てるようになっていった
記憶が戻った今
なおさら早くがる羽に逢いたくて無一郎は走った
たくさんのお礼を言わなくちゃいけない
そして…そして…がる羽に伝えたい気持ちが
今は確かなものとして
この胸にあると気付いたから──
つづく
+25
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10841. 匿名 2024/05/02(木) 21:03:56
>>10832
⚠己の趣味に全振り
⚠諸々解釈違い多々有り
⚠何でも許せる方向け
「おなじ星」🌫 第8話
思い出した!すべて──!
俺が何者で今までどうやって生きてきたか
家族のことも兄さんのことも
そして──!
がる羽…君は…君はあの時の──!
玄関先ではいつものように朝ご飯の匂いが漂っていた
その匂いがたまらなく懐かしくて切なくて
ガラリ!と扉を開けると思わずその名を呼んだ
「…がる羽!」
「……え?」
驚いたがる羽を無一郎は有無を言わさず抱き締めた
「ごめんよ!ごめんよ!
俺…ずっと思い出せなくて…なのに…君は…!」
がる羽は優しくその頭を撫でた
「ああ…全部思い出したのね…良かった…」
そして無一郎の瞳を見つめると
「おかえりなさい」
と微笑んだ
がる羽の目には涙が浮かんでいた
無一郎は刀鍛冶の里での戦闘中に
今までのすべての記憶が戻った
家族のことも鬼に殺された兄のことも
そして記憶を失くしたまま鬼狩りとなり
毎夜毎夜ひたすら鬼を斬っていた
そんなある夜、両親と女の子が鬼に殺された家に行った
鬼はすぐさまその場で斬り捨てたが
背後に女の子が立っていたことに
彼女の悲鳴で気が付いた
女の子はこの家のもう一人の娘だったがたまたまその時家におらず
幸いにも助かったのだ
すぐさま隠が錯乱状態の彼女を保護して行ったが
無一郎は自分がもっと早く助けに来ていれば──と苦い後悔が残っていた
そうか…そうか…君は…
あの時の生き残った女の子だったんだね
君は俺のことを知っていた
知っていて何も言わず──
「…なぜ?」+27
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