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10698. 匿名 2024/05/02(木) 18:37:48
>>10265⚠️大正軸🌫️己の趣味に全振り
『今宵、花嫁になる君へ』
第五話
「村長さん、これはどういうことでしょう」
「ガル乃ちゃん、頼む、この通りだ。モブ子の代わりに霞をうちから嫁に出そうとしたのだが、今朝になって山向こう様からの命が来て、花嫁はガル乃ちゃんに変更したいと言うのだよ」
「そんな…」
「ガル乃ちゃん、これにはいろいろと訳があるんだ。村のために必要なことなんだ。どうか今年の花嫁を引き受けてほしい」
無一郎くんから全てを聞いていた私は、説明も碌にせずに花嫁の変更を頼み込む村長に不信感を覚えた。しかし君に出来ることは黙っていることだけだと言われた私には、村長を追求することが出来ない
「霞さんは、このことを知ってらっしゃいますか?」
私は村長に尋ねた
「それは、もちろんだ」
村長がすかさず答える
無一郎くんはこのことを知っているのね
彼が知っていて、その上で村長がうちに頼みに来たと言うことは、無一郎くんが花嫁になるという作戦は変更になったんだわ
そうであればもう、これしか方法はないだろう
「村長さん、花嫁には私がなります。ガル乃に代わって私が、山向こうに嫁入りします」
「ガル子…!?」
「良いでしょう姉さん。私が行きたいの」
「おぉ、それで良い!とにかくうちから出す娘では駄目だと言うことなんだ。ガル子ちゃんが行ってくれるなら助かる。警護を…必ずつけるから…!」
私はたとう紙に包まれた白無垢を前にして平身低頭の彼に頷いた
(つづく)
(プラスやコメント本当にありがとうございます)+29
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10699. 匿名 2024/05/02(木) 18:50:12
>>10698
ずっと追いかけて読んでます!先が気になるぅぅ!+21
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10754. 匿名 2024/05/02(木) 19:47:03
>>10698
ドキドキする!!続きが待ち遠しいです😳+19
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10820. 匿名 2024/05/02(木) 20:51:16
>>10698⚠️大正軸🌫️己の趣味に全振り
『今宵、花嫁になる君へ』
第六話
夜になるのを待って池まで急ぐと、すぐに彼の姿をみつけることが出来た
「無一郎くん!ここに来れば会えると思った…!」
「うん。昼間に僕が君の家に行くわけにはいかないからね。会えて良かった」
「姉さん宛てに白無垢が送られて来たの」
「うん。動きに気づかれたのかもしれないな。輿入れは夜、山向こうから迎えの者がやって来て、輿に乗って行くんだ。僕だけが花嫁に扮して潜入しようと思ってたんだけど」
「私が行くわ」
「村長からそう聞いたよ。でも白羽の矢が当たったのは姉さんだろ」
「姉さんには恋人が居るの。そんなことさせられない。それに姉さんはまだ事情を知らないの。私ちゃんと黙ってたわ。村長さんが花嫁を代われと言うだけで何も説明しないのはどうかと思ったけど」
彼はクスリと笑った
「分かった。花嫁役は君に頼むよ。僕は、介添に扮してついて行く」
「ありがとう。どうか村のために、よろしくお願いします」
私が手を出すと、彼は私の手を握った
傷や豆がたくさんついた大きな手。その姿からは不釣り合いなくらいに骨ばった手から、乾いた温かさが伝わってくる。私は自分から握手を求めたくせに、頬が熱くなってくるのを感じて、彼に顔を見られないよううつむいた
(つづく)+29
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