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9493. 匿名 2023/10/21(土) 00:06:38
>>9430つづき!🐢スポーツの秋⚠️CS記念⚾
ビールの売り子ちゃん🌼のちいさな恋🍻
2/2
ビールの売り子をやってると、絡まれることなんてしょっちゅう。ナンパやセクハラまがいの言動なんて当たり前。みんな一緒だから我慢。
大変なこともあるけれど、やっぱり野球が、この球場の一体感が大好きだから、私なりに折り合いをつけながらやってきた。
でも、嫌なことに気付いてくれて、しかも庇ってもらうのは初めてのことだった。
━━こういう時なんて言えばいいんだろう…
今まで堪えていたものがぷつんと切れて溢れだしそうになり、このままではまずいと、きゅっと口を固く結ぶ。
この仕事は笑ってなくちゃ。元気を売るお仕事でもあるんだから。
そして、お得意のスマイルをモヒカンにーちゃんに向けた。
「ありがとうございます!実は、とても嬉しかったです。守ってくださって。」
━━そう、素直になればいいんだよね。
カップに左手を添えながら、モヒカンにーちゃんに心を込めて「どうぞ!」と手渡した。冷えたビールとは真逆の、あったかい指先が触れ合う。
「お兄さんが美味しく召し上がれますようにって、おまじないをかけておきました。」
モヒカンにーちゃんを見つめると、心なしか照れたように目を逸らされた。
「その帽子に付けてる髪飾り🌼、素敵ですね」
「あ…コレですか?これは、尊敬する先輩が売り子を卒業する時に受け継いだものなんです。先輩はいつもニコニコしていて、みーんなに優しくて、売上もダントツで…私の目標なんです。」
「…へえ。いい話じゃん。」
「えへへ//自慢の🌼です!」
モヒカンにーちゃんがふっと短い眉を下げて笑ってくれたその瞬間…
カキーーン!!!
と鋭い打球音が鳴り響き、ボールは満員のライトスタンドに突き刺さった。球場全体が一気にヒートアップする。
「わぁやった、ホームラン!!」
「うっしゃ!今日はもらったな!!」
いつの間にか、勝負の行方よりも、ガッツポーズを決めるモヒカンにーちゃんの笑顔に釘付けになっている自分がいて。得点が入った後の応援歌を、一緒に口ずさんで笑い合う時間は何より楽しかった。
このヒトの彼女さんはきっと幸せなんだろうなぁ。
「…じゃ、このビール飲み終わった頃にまた来てくれませんか?またお姉さんから買わせてください。」
「はい!もちろんです!楽しんでいってくださいね!」
***
私は野球が大好きだ。
今日も明日も試合がある限り、声を張り上げて球場内を歩き続ける。
「ビールいかがですか〜っ!」
私を助けてくれた強面だけど心優しい“モヒカンにーちゃん”に、また逢えるというキセキを祈りながら。
おしまい!⚾+28
-7
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9498. 匿名 2023/10/21(土) 00:21:35
>>9493
モヒカンにーちゃん優しい…
また逢えるキセキが起きたら良いなと思いました🌼⚾+14
-4
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9500. 匿名 2023/10/21(土) 00:46:20
>>9493
モヒカンにーちゃんに会えるキセキ待ってるで🌼おーん+15
-3
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9525. 匿名 2023/10/21(土) 05:34:39
>>9493
球場の熱い空気感が伝わって来ました⚾️✨
モヒカンにーちゃん、惚れてまうやろーー♡
推し球団と共に2人の恋も応援しますっ📣🎶+17
-2
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15925. 匿名 2023/11/01(水) 22:12:01
>>9493つづいたよ!⚠️スポーツの秋⚠️日シリ記念⚾
【続】ビールの売り子ちゃん🌼のちいさな恋🍻
1/2
遂にここへ戻ってきた。日本一を決める大舞台。
「ビールいかがですか〜っ!」
シーソーゲームの末、同点で迎えた終盤。観客のボルテージはMAXになる。
いつもの常連さんたちもご機嫌で、沢山お声掛けいただき、売上は上々。背負っているビールサーバーが軽くなりつつあり、左手指に挟んだお札もいっぱいになってきた。
そろそろビールの補充にいく頃合だな、と階段を降りて控え室に行こうとしたその矢先。
ど ん っ!!
「わっ…すすすみません!!」
お客様とぶつかってしまい、急いで振り向いて頭を下げた。そのはずみで帽子に付けている🌼を落としてしまった。とても大事な物なのに……!
ビールサーバーはとても大きくて場所をとる。いくら細心の注意を払っていても、通りがかりの方と当たってしまうことが稀にある。その度に謝罪をしているけれど、、どうしよう…。あいにく、ビジターのユニフォームを着た少しガラの悪そうな方だった。
「アァ?どこ見て歩いとんねん」
「大変失礼いたしました。お怪我はないですか…?」
「あー…そういやココが痛えなぁ〜ねーチャンにどう落とし前付けてもらおうかねぇ…」
ぐっと迫られて怖くなり目を瞑ったその時だった。
「お客様、お止めください」
聞いたことある声がして、顔を上げると視界を真っ黒なものに遮られた。大柄な男性が目の前に立ちはだかっていたのだ。
そうだこのハスキーな声…!忘れる訳ない。ずっと、探していたから。
でも、“あの時”とは様子が違う。上から下まで黒いスーツで、首からぶら下げているのは『staff』入りのネームカード。しかも、髪を上の方でお団子に結っていた。
「俺にはお姉さんに当たりに行ってるように見えましたけど。」
「あ"ぁ?やかましなぁ……!」
「…いい加減にしねえと出禁になりますよ?」
鋭い目付きとドスの効いた声にたじたじになった男は、バツが悪そうに観客席に戻っていった。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます。。あのっ!モヒカンにーちゃんですよね?!」
「え?モヒ・・「あぁ〜〜〜!今のは忘れてください!!こっちの話ですからッ!!」
妄想の中でのあだ名を思いっきり口にしてしまい、慌てふためいた私の様子を見て、彼はくつくつ笑い始めた。
「ガル子さん面白っ!wwまた会いましたね。」
嬉しい。また逢えた。覚えててくれたんだ。しかも名前まで…
「この前も、さっきも、助けてくださってありがとうございました。」と頭を下げる。
「どういたしまして。ご無事で何より。」
私服もスポーティーでかっこよかったけど、スーツ姿もすごく素敵だ。あまりの緊張でもじもじしてしまう〃〃
つづく🍺+26
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