ガールズちゃんねる
  • 9472. 匿名 2023/10/20(金) 23:39:13 

    >>7807
    🍉『雨粒のち、』
    5話

    「えっと、備品室の整理してた。ちょっと時間空いて」
    「そうなんですね!俺は前にガル山さんと会ったカフェで資料作ってました。マジで楽しみにしてますね、日曜日」
    「うん、私も…楽しみ!晴れるといいな」

    そして日曜日はやってきた。どうか晴れて欲しいという想いとは裏腹に、空を見上げると厚い雲が覆っていて雨粒が落ちている。
    「おはよう!さすが、雨男の不死川くん」
    「俺、てるてる坊主作ったんですけど、だめでしたね…」
    「てるてる坊主⁈久々に聞いた!」
    雨が降っていることに悲しくなったが、不死川君を可愛いとすら思ってしまって、今までとは何か別の感情であることに気づく。

    私たちは始めにメリーゴーランドに乗った。馬の立て髪が不死川君のモヒカンに似ていて、それに乗っている不死川君は多分そんな事には気づいていなくて、なんだかおかしかった。思わず隣で写真を撮った。後で不死川君に送ろう。
    ジェットコースターに乗るのは久々で、いざ座ってみるとものすごく怖くなった。天気は小雨になっていて、売店で買ったカッパをお揃いで着ていた。
    「ガル山さん、乗ってる時だけでいいから、手繋いでいいっすか?」
    私よりも大きく温かい不死川君の手のひらが触れて、力強く握られた。その後心臓がドキドキして仕方なかったが、手を繋いでいるせいかジェットコースターのせいか分からなかった。

    続く

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  • 9481. 匿名 2023/10/20(金) 23:47:05 

    >>9472

    てるてる坊主……ですって!?
    わたしを悶え死にさせる気か不死川君

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  • 10970. 匿名 2023/10/23(月) 20:27:55 

    >>9472
    🍉『雨粒のち、』
    6話

    「そろそろお昼食べますか」
    園内のカフェテラスへやって来た。遊園地らしいかわいいメニューが多い。
    「俺は、"雲の上のhappyオムライスセット"にします」
    「あはは、かわいいの頼むんだね!私も同じのにする!」
    ホワイトソースのかかったオムライスにサラダ、デザートにイチゴプリンが付いている。
    「イチゴプリン、美味いっすね」
    と笑顔で食べている不死川君を見て微笑ましくなった。微笑ましい?いや、それだけではない。これは、吊り橋効果なのか恋心なのか。
    「ガル山さん、転職しないでくださいね!」
    ジュースを飲みながら、おもむろに不死川君が言った。
    「しないよー、まだ。何でそんなに気にかけてくれるの?」
    「何でって…そんなん決まってるじゃないっすか…」
    不死川君が顔を赤くして、窓の外を向いてしまった。

    空は雨が上がり、太陽が見え隠れしている。
    「コーヒーカップ乗りません?」
    と言って、手を繋がれた。不死川君を見上げると、また少し赤い顔で「嫌っすか?」と聞かれた。
    「嫌じゃないよ」と言って、握り返した。心臓がドキドキする。私達は紫色のコーヒーカップを選んだ。

    続く

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