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2128. 匿名 2023/10/09(月) 10:17:38
>>2067
【趣味に全振り】⚠️
悲鳴嶼部長と干物女 2/6
「やられた…」
先日、他部署の課長からそれとなく企画書を
確認したいと言われ、それを見せた。
色々あまり評判が良くない人だと聞いてはいたが、社内の人だし自分が実害にあった事がなかったから疑いもせずに。
部の合同会議で見覚えのある企画が、スライドに映し出された時に全てを悟った。
企画がそのまま盗まれていた。
先に出した方が全ての世界。
もう少し練ってから出そうと思っていた企画。
相手が完璧な企画だったらまだ諦めもついたのに、改悪されたそれは見るに耐えなかった。
勿論、私が先に企画していた証拠なんてないから誰にもこの気持ちを訴えたりできない
あまりの悔しさに、女子トイレの個室でひとしきり泣いて、化粧でぐしゃぐしゃの顔を誤魔化した。
あーあ…給湯室で温かいお茶でも飲んで、気分を戻したら部屋に戻らなくちゃ。
いつまでも理由なく離席していては、きっと同じ部署の人が何かと思うだろう。
「お疲れ様。」
こんな時に一番苦手な人が給湯室に来るなんて本当についてない。
「お疲れ様です…何か飲まれますか?」
「いや、私がやろう。お茶でいいか?それともコーヒー?」
「お茶でお願いします…」
部長にお茶をいれさせるなんて、申し訳ありませんなんて、言う配慮も出来ないくらいの気分の落ち込み。
部長が煎れてくれたお茶は、美味しくて不思議と気分が落ち着いた。
二人で無言でお茶を飲むだけの時間が流れる。
いつもやたらと話しかけてくる癖に、今日は隣に並ぶだけで何も言葉をかけてこない。
だけど…苦手な人と二人なのに今はこの無言の空間が不思議と少しだけ、心地よい。
「ありがとうございました。ご馳走様でした」
先に飲み終わり頭を下げ、給湯室を出ようとまだ残る部長の横を通り過ぎ様とした時だった。
大きな掌が私の頭を優しくぽんぽんと叩いた。+55
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2149. 匿名 2023/10/09(月) 10:36:51
>>2128
【趣味に全振り】⚠️
悲鳴嶼部長と干物女 3/6
いつもの私なら、ちょっとやめてくださいよ!と苦笑いでもしながら、言い返していただろう。
一瞬、ぶわっと泣きそうになった私は俯いて、
それに構うことなく悲鳴嶼部長は、
「今夜、君が良かったら飲みに行かないか?」
と続けた。
私は、社内の人と個人的に飲みに行くことがまず無い。
社内の飲み会だって本当は嫌々参加しているくらいだ。1人が好きだし家が好きなのだ。
予定があるので…とうまく断るはずが、「行きます。」と答えていた。
あまりにショックで脳がバグっていたのだろうか。
「他に誰か誘いましょうか?」
私と2人で飲んでも、今日のメンタルじゃきっと何も楽しい話なんて提供出来ない。
「いや、君と2人で行こう。違うな、君と二人がいいと言うのが的確だろうな。」
「…わかりました。お店は決めて下さると助かります。私詳しくなくて…」
「決まったら、社内メールするよ。君の個人的な連絡先は知らないから。」
「よろしくお願いします。」
頭を下げて、自席へ戻った。
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あーあ、あの部長と2人で飲みに行く約束をしちゃうなんて、今日の私はやっぱりおかしい。
自分で思っている以上に企画書のショックが大きかったせいだと結論づけて、自席に戻った私は仕事を再開した。
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