- 
                2047. 匿名 2023/10/09(月) 08:06:47 >>2045 Happy birthday sweetie 3/8
 ⚠⚠⚠解釈 ☀さん。マイナー気味ゾンビ映画(愛がテーマの3作品をチョイス)のパロ。ゾンビらしきゾンビは出てきません。
 
 「少しお話しませんか」
 彼はそう言って、店内に併設されているカフェ席を指差した。
 私は誰かと一緒に食事するのは苦手だ。
 だけど彼が…なんとなく思い詰めたような感じで…断わってはいけないような雰囲気で…
 私は渋々頷いた。
 
 「ガル子…さんは、この辺りに長く住んでいるんですか?」
 「えっ…」
 口ごもった私を見て、彼はきまり悪そうにうつむいた。
 「不躾にすみません。季節商品に詳しかったので、そうなのかと」
 「まぁ、それなりに」
 彼は曖昧な返事で誤魔化した私をそれ以上追求することなく、テーブルに置かれたメニューに視線を落とした。
 
 「ガル子さん。季節のパフェの中ではどれがおすすめですか?」
 そう言って季節メニューのチラシに手を伸ばした彼が「あっ」と小さな声をあげた。どうやら紙の縁で指を切ってしまったようだ。
 自分の指先にプツリと浮き出る真っ赤な球体を見て、硬直する彼。
 「これ使ってください」
 彼は私が差し出した絆創膏を傷口に貼ろうとするが、動揺しているせいか何度も失敗してしまう。見かねた私はポーチから新しい絆創膏を取り出し、彼の指に巻き付けた。
 「…ありがとうございます」
 傷が隠れると、彼はようやく落ち着いたようだった。
 私はその様子に少し違和感を感じたけど、きっと血が苦手なのだろうと流してしまった。
 
 「おすすめは柿のパフェかな。柿の優しい甘さに生姜風味のレモンソースがすごく合うんです」
 「じゃあ、それにします」
 話したいと言って誘ったくせに、彼がそれ以上口を開くことは無かった。
 そのかわり、私がチョコバナナパフェを食べる姿を嬉しそうに眺めていた。
 ───柿のパフェには目もくれずに。+22 -3 
- 
                2049. 匿名 2023/10/09(月) 08:10:48 >>2047 Happy birthday sweetie 4/8
 ⚠⚠⚠解釈 ☀さん。マイナー気味ゾンビ映画(愛がテーマの3作品をチョイス)のパロ。ゾンビらしきゾンビは出てきません。
 
 
 なんだか変わった人だな。
 はじめはそう思っていたけど、何度か顔を会わせるうちに彼はただ無口なだけだと分かった。そして、不思議なことに私とすごく波長が合うということも。
 
 仕事帰り、ふと彼の部屋を見上げると、ベランダでぼんやりしている彼の姿があった。
 彼も私に気付いたみたい。
 「ガル子さん、おかえり」
 手を振る彼に、私も小さく振り返えす。
 私はずっと、誰かに自分の存在を認識されるのが怖かった。だけど───彼が私を私として見てくれるのは…少し嬉しい。
 あれ?気のせいかな…なんだか顔が熱い。
 
 
 真夜中、玄関の扉をガンガン叩く音に叩き起こされた。
 「ガル子!開けてくれ!」
 彼の声だ。私は慌てて玄関の鍵を開けた。
 「ガル子、今すぐ逃げるんだ」
 「突然なんですか⁉離してください!」
 彼は私の腕を掴むと、ずかずかとキッチンに向かい、冷蔵庫を開けた。
 「やめて!開けないで!」
 「静かに。君の正体は知っている」
 彼は持参していた保冷バッグに、私の命綱とも言える薬を慎重に詰め込んだ。
 「ねえ、どういうことですか⁉なんで知ってるの!?」
 彼は抵抗する私を無理やり車に放り込み、これを読んでとスマホ画面を突きつけた。
 
 【◯◯の供給停止、復旧は未定】
 
 ◯◯────それは、私を人たらしめている薬の名前だった。+19 -2 
削除すべき不適切なコメントとして通報しますか?
いいえ
通報する
