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2026. 匿名 2023/10/09(月) 06:33:43
>>2024 ⚠解釈 🌙さん(24) 諦めるのを諦めた 2/2
鬼を狩るよりも移動が堪えるな…
私は極度の疲労を感じていた。拠点を増やすことを進言すべきか、などと考えながら長の元へ報告に赴き、そして知らされた。
────残された時間が、極僅かであることを。
呆然としたまま屋敷の戸を潜った私の鼓膜を、静寂が切り裂く。
ああ、そうか。お前も私を見限ったか。
火の気のない薄ら寒い屋敷を後にし、あてどなく彷徨う。
気付いたら、いつもの場所で刀を振っていた。
道は途切れる寸前。それでも私は足掻かずにはいられないのだ。最期の一呼吸が途絶えるまで。
パキッと小枝の折れる音がした。
「どうした。出ていったのではなかったのか」
「いいえ、用事が長引いてしまって。出迎えが間に合わず申し訳ありませんでした。それから…先日の失礼な振る舞いも」
私が刀を納めると、ガル子が側に近付いてきた。
「聞いたんですね」
「ああ」
「どうしますか?」
「………命尽きるまで、諦めることは出来ないだろうな」
「そう仰ると思っていました」
吹き荒ぶ風が二人の髪を掻き乱す。
「私は…諦めます」
分かっていたことだが…欲した二つ──一方は閉ざされ、一方は去ってゆく。怨毒まみれの私には、なんと似合いの結末か。
「そうか、これまで世話になったな。新しい女中が来るのか?」
努めて普段通りの口調で返した私を、ガル子が不思議そうに見上げた。
「誰も来ませんよ?だって、あなた怖がられて…あら、ごめんなさい、失言でした。あなたって大きいし元お武家様だし、いつも難しい顔をしているから近寄り難いみたいで。あなたのお世話を出来るのは、私しかいないんです」
「しかし…」
「私は、諦めるのを諦めました。どうしても、あなたを嫌いにはなれない」
───だから…最後まで私の相手をしてくれますか?
「今日は冷えるな」
女の声が震えている理由を寒さのせいにして。
私は柔らかな体を抱きしめた。
「あなたって本当に優しくて…残酷な人」
胸の内側から、くぐもった笑い声が聞こえた。+28
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2235. 匿名 2023/10/09(月) 12:24:37
>>2026
好き+14
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2266. 匿名 2023/10/09(月) 12:42:48
>>2026
書いてくれてありがとうございます!2026さんの兄上ガル子カップル覚えてて、過去トピブクマのも読み返してました。お疲れ気味で住まいに帰ってくる兄上が個人的にツボでして(仕事で疲れてる兄上かっこいい…)、2人のやり取りもキュンでした。あの兄上がとうとう心開いたのね…🌙+21
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2891. 匿名 2023/10/10(火) 08:01:54
>>2026
刺さりました…🌙の抑えた色気が素敵✨+18
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