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17128. 匿名 2023/11/03(金) 22:01:12
>>15983
リクエストお題「さくらガール」💎
※リク主様へ⚠解釈違い⚠でしたら本当にすみません!やや長文になりそうです😓
「え、お前留学すんの?」
「うん。進路の事、色々考えた結果ね」
ガル子から話があると言われ、放課後に呼び出された誰もいない教室。開けた窓からはひんやりした風が入り込んでくる。
「何で」
「何でって…自分の将来の事だし」
「…どこに行くんだよ」
「カナダ。私寒いの苦手なのにね。ウケるでしょ?」
思いもよらなかった答えに、無言でガル子を見た。声は明るい。だけど目は笑っていなかった。
「ウケる訳ねぇだろ」
「え、ウケなかった?ごめんね」
思わず溜息をついた。こういう時、どんな言葉をかけたらいいのか咄嗟に思い浮かばない。
高3に進級した春にガル子と同じクラスになった。
女子で、何でも話し合える居心地の良い関係だと思えたのは彼女が初めてだった。正直、親友を自負していただけに、留学の事を今まで何も言わなかった彼女に対して、つい責めるような口調になる。
「いつから考えてたんだよ」
「前から」
「前って…俺は一度も聞いてねえよ」
「それは自分の進路だし、人に"どうしたらいい?"って聞けるものじゃないでしょ」
「…そうだけどさ」
「例え私が留学しても友達でしょ?」
俺は一瞬言葉に詰まったが「まぁな」と一言返すのがやっとだった。
「カナダに行くのは卒業してからだし、今まで通り友達でいてよ。とりあえず天元には言っておきたかったんだ。驚かせてごめん」
「あっそ。ご報告どうも」
「そろそろ帰ろ。暗くなるし」
「だな」
2人で夕暮れの教室を後にする。
(留学か。随分思いきった事を考えてたんだな)
そっと、隣を歩くガル子の横顔を眺めた。何となく寂しいような、でもガル子のやりたい事を応援したいような、そんな複雑な心境でいつものように一緒に帰ったのだった。
つづく
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17148. 匿名 2023/11/03(金) 22:10:44
>>17128
⚠解釈違い⚠💎「さくらガール」2話目
ガル子の留学が決まったからと言って、突然何かが変わるわけではない。学校に行けば普通に話をするし、タイミングが合えば放課後は一緒に帰る事もある。普通にLINEや電話で他愛のない話もする。何も変わらない日常。
けれどあれ以来、進路の話を自分から話題にする事はなかった。何となく気が引けるのだ。それが何故なのか、自分でもうまく言えないけれど。
「天元は、美大だよね」
「そうだよ」
「才能あるもんね。自分のやりたい事に向かって、私よりちゃんとやってるじゃん」
才能があるかは別として、進路は既に自分で決めていた。ガル子だってそうだろう。自分のやりたい事に向かって頑張ろうとしている。
「あのさ、何か俺に出来る事あるか?」
「うーん、別に思いつかないけど」
「友達として、出来るような事あるだろ」
「まぁ、天元にしか出来ない事はあるかな」
「何だよ。言ってみろ」
「私の絵を描いてほしい」
「…脱いでくれるんなら描いてやるけど?」
「は?!脱ぐ訳ないでしょーが!」
すかさず肩を叩かれ「痛って!冗談だよ!」とお互いに声を上げて笑い合う。
「天元のデッサンが好きなの。描いてくれたら一生の宝物にする」
「俺が有名になったらド派手にプレミアが付くかもな」
「え、絶対有名になってよね」
「なるよ。当たり前だろ」
「私のスケッチブックに描いて?」
「わかった。いつでも描いてやるよ」
「描いてる所も見ていい?」
「いいよ」
「よっしゃ、決まりね!」
心底嬉しそうな笑顔を向けられ、意外にも照れてしまう自分がいた。
(へぇ、コイツ、こんな風に笑うのか)
確かに、これは俺にしか出来ない事だろう。こんなに喜んでくれるなら、と、とりあえずデッサンを描くという約束をガル子にしたのだった。
つづく
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17458. 匿名 2023/11/04(土) 14:09:37
>>17128
リクエストお題💎さくらガール(全5話)
>>16043
無機物目線💎🐚(全2話)
>>15777
まとめに紐付けします
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