ガールズちゃんねる
  • 15587. 匿名 2023/10/31(火) 23:46:33 

    >>15560
    切れました!すみません💦
    もう七話に繋ぎます


    三日月の初恋🌙 七話
    ⚠🐚

    男たちの欲望に
    夜毎削りに削られた月は
    細く細くなっていく
    極限まで細くなった三日月は
    ある夜ついに

    ポキリと折れた──


    あれから三月…
    私はもうあの店にいない
    でもそんなことをあのお方は知る由もない
    だってもう二度と私を指名することなどないだろうから
    そもそも誰でも良かったのだろう
    今頃は他の遊女の膝枕で眠っているのかもしれない

    …フフッ
    私は惨めな姿を自嘲する
    ゴフッと咳き込むと掌が赤い血で染まる

    いつかこうなることはわかっていた
    よくあることだ
    遊女は病気になればもう用無しだ
    華やかな店からは離され
    切り店へと追いやられる
    あとは死を待つだけの──

    ああ、今夜も細い三日月だ
    心はとっくに泣き尽くしてカラカラに干からびている
    もうなんにも感じない…

    血で汚れた掌を洗いに行かねばと
    ヨロヨロと玄関先の水場へ壁を伝いながらたどり着く

    ──ガタン!
    膝が折れて倒れる!と思ったその瞬間
    私の体は抱き止められた

    つづく


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  • 15614. 匿名 2023/11/01(水) 00:16:06 

    >>15587
    三日月の初恋🌙 八話

    この病は幻も見えるようになるのか?
    私はそんなことを考えていた

    今起きていることが現実だなどと
    とても信じられなかったからだ
    私は月彦さんの腕に抱かれている
    それが幻でも夢でもどうでもいい

    月彦さんはあの赤い瞳で私を見ている
    肩越しに細い三日月がかすかに見えた──
    が、突然空が真っ暗になった

    いや、空がではなかった
    私の視界が塞がれた
    いや、いや、違う!。
    違わないが
    塞がれたのは視界だけではなかった──

    それはほんの一瞬にも永遠にも感じられた

    戻った視界に映ったのは
    血まみれの唇の月彦さんの顔

    「わ、私の血が!
    いけません!早く洗っ…」
    思わず叫ぶ私に
    「私は病気にならない」
    彼は事もなげに言った
    「…え?」
    彼は説明などしなかった
    ただ
    「…こうしたかったのだろう?」
    とだけ優しく言った
    「……!」
    涙が
    熱い涙が溢れてきた
    もう乾き切ったはずなのに
    どんどん溢れて──
    「…はい」
    とだけ私は答えて笑った

    男の腕に抱かれることなど数え切れないくらいあったのに
    こんなにも幸せだなどと思ったことは初めてで
    唇を合わせる
    ただそれだけのことが
    こんなにも尊いなんて
    初めて知った──

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