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                15561. 匿名 2023/10/31(火) 23:28:40 >>15559
 「えっ?……あっいえ、師範はいつ頃退院されてお家に戻られるのかなーと思って」
 私はさっき無意識に呟いていた言葉をごまかした。
 「う~ん…まだよくわからない。血鬼術の影響がないかあと何日かは様子を見ないといけないって」
 「そうですか…。」
 
 「また暗い顔するー。そりゃガル子の不注意だよ?ガル子が気を抜かずに任務を遂行してたら僕は怪我なんてしなかった。どうせガル子のことだからあの時は、お腹減った~とか、ご飯何食べよう~とか思ってたんでしょ?」
 師範は少し呆れた顔をしている。
 「鬼狩りの最中、関係ないことを考えるのは命取りだからね」
 ……はい、おっしゃる通りです。
 
 「不覚だった。不意を突かれたとはいえ鬼の攻撃をくらっちゃうなんて」
 「私の不注意なのですから師範が庇ってくださらなくてもいいんですよ。私が悪いんですから。本当に申し訳ないです」
 私は改めて頭を下げた。
 
 「ガル子、顔上げて?」
 ────ぶぎゅ
 「んがっ」
 いきなり鼻をつままれた。
 「何!?何するんですかぁ!」
 「ガル子がいつまでもウジウジしてるから。起きたことは仕方ないでしょ?それに僕がガル子を守りたいと思って行動したことだからね」
 その言葉にドキッとした。
 
 「継子を守るのも師範である僕の務めだと思ったから」
 ──あ、やっぱり『師範と継子』だよね…。ドキッとしてしまった自分が恥ずかしくなり私は下を向いた。
 「あっ私今日は帰りますね。失礼します」
 師範と目を合わせることができないまま早口でそう告げると、私は小走りで診療所を後にした。
 
 
 
 続く
 
 プラス、コメントすごく嬉しいです✨ありがとうございます✨
 
 
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                15572. 匿名 2023/10/31(火) 23:35:23 >>15561
 ずーっと読んでます
 ガル子ちゃん頑張れ!+12 -0 
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                17318. 匿名 2023/11/04(土) 00:49:16 >>15561
 
 師範のお見舞いに行かなくなって今日で6日───
 霞柱邸の庭を掃除していると頭上から声が響いた。
 「チョット!アンタネェ!アノ子ノオ見舞イニ行キナサイヨ!」
 「銀子さん?どうしたの?」
 「急ニアンタガオ見舞イニコナクナッタカラ、アノ子ガ心配シテンノヨ!余計ナ手間カケサセンジャナイワヨ!」
 ご主人と同じで銀子さんもかなり毒を吐く…。
 「アンタミタイナ出来損ナイデモ、オ見舞イニ来タラアノ子ガ喜ブデショ!タメ息ツキナガラ掃除シテナイデ、サッサト行キナサイヨ!」
 「ちょっ…!痛い!痛いってば」
 銀子さんから何度も頭をつつかれるので、乗り気ではないが私は診療所へ向かうことにした。
 …何で私こんなに凹んでんだろ。師範と継子の関係なのは当然のことなんだから。師範が私を鍛えてくれるだけで十分でしょ。勝手に高望みしすぎ……。
 
 
 診療所の門を通り玄関へ向かっていると建物の陰から師範が顔を出した。
 「ガル子ー!」
 前より顔色が良くなってる気がする。
 
 
 
 続く
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