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15534. 匿名 2023/10/31(火) 23:11:20
>>15526
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昔ながらのカウベルが鳴る。
「いらっしゃいませ、あ、悲鳴嶼先輩!」
「📿模部田から預かってきたぞ」
「ありがとうございます!取りに行こうと思ってたところでした。お手数かけました」
「💎懐かしい名前だなw元気してんのかねえ」
元同級生の名前だ。関係性は──まあ、昔、ガル子を取り合った仲、ってとこか。
「🐍何言ってるんだ?模部田先輩はそこの国道沿いの寿司屋を継いだぞ」
「💎アイツが板前!?人生どう転ぶかわかんねえな。まさか立派に跡を継ぐとはねえ」
意外だけど、似合いだとも思う。近々、顔出してみっか。
「あれ?こっちのお皿はオーダーしたものですけど、もうひとつの包みは何ですか?あったかいし重い」
「📿『宇髄の好物だから、持っていってくれ』と聞いたが」
「おひつ、と、……天ぷらかあ!あ、天つゆもある!」
アイツからメシを食わせてもらう日が来るとは。しかも自作。
……さすがのマスターちゃんも丼は店に置いてなかったらしく、楕円の白いボウルに天丼が小洒落た姿で収まってる。
当たり前のような姿で飾られたブロッコリースプラウトがジワるなw
「貝割れ大根の代わり、お前が務めるのかよw」
「🍃もう酔ってるのかァ?」
「🐍ブロッコリースプラウトに語りかけるな」
「🧈もうちょい右っすかね」
「🌊分かった」
「📿こちらは私が持とう」
「🐍椅子は8脚で合ってるな」
「ありがとうございます。助かりました」
「🍃いーえェ」
「🔥お役に立てることがあって何よりだ!」
カウンターには料理が置ききれないから、4人がけのテーブルを複数くっつけて作られた席。
オールドパインの古いテーブルに、デカい皿のふぐ刺し。洋食器に盛られた天丼。見た目はいろいろとミスマッチなのに、間違いなく「ハレ」が伝わる絵面、なんかいいもんだ。
「我ながら、上出来〜♪」
ご満悦なマスターちゃんの声。
「🐍それも自作か。器用なものだ」
「🧈美味そうっすね」
「薄切りはマシンの力ですよ」
ローストビーフが、本領発揮とばかりに映えた盛り付けをされて出てきた。+22
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15537. 匿名 2023/10/31(火) 23:12:58
>>15534
3/3
「📿──さて、始めるか」
シャンパンが配られる。
「皆さんからもシャンパンの提供はありましたが、主役から頂いたものを先に開けさせて頂きました」
マスターちゃんがみんなにボトルを見せる。
「🐍主役提供の品がアルマンドとは、何をしにきたんだ貴様。祝われる気はあるのか?」
「💎俺らしくていいだろ?」
「しかも、ブラン・ド・ノワールです。貴重すぎて手が震えるんですけど……」
「🔥疎いから分からんが、相当な品らしいな!」
「🧈いやマジで高いやつっすよあれ」
「📿宇髄らしいことだ」
「🌊……………」
「🍃もう咀嚼中じゃねえんだから喋れェ」
「🌊スペードがかっこいい(から、宇髄に似合うと思う)」
「🐍わざわざ絞り出した言葉がそれか」
「🍃……とりあえず主役さん一言どうぞォ」
冨岡が横からカレースプーンを差し出す。おい、これがマイクの代わりかよ!
しかも握り締めて、出すタイミング待ってたな?あったまってる。
「💎今年も祝ってくれてありがとよ!年々ありがたみが身に染みてるぜ。しんみりするのも性に合わねえから、マスターちゃんと模部田の料理をド派手に楽しもうや。カンパーイ!」
キメ学を出て、教師になった奴らと。キメ学を出て大学卒業後すぐ喫茶店を継いだマスターちゃんの店で。
マスターちゃんと、そして同じく店を継いだらしい同級生が作ってくれた料理を食って騒ぐ。
ささやかでド派手に幸せな、一つのパーティー。
***
帰り道、俺の腕には、ボトル用の紙袋が2つぶら下がってる。
中には、あいつらがくれた、ルイ・ロデレール・クリスタル。
(なかなかいいモンくれたじゃねえか。伊黒あたりの趣味か?)
そして、家で待ってるガル子と飲むために買った、シャトー・カロン・セギュール。
高くはねえが、可愛いあいつに似合いの、ハートのラベルのワイン。+22
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