ガールズちゃんねる
  • 15267. 匿名 2023/10/31(火) 19:55:00 

    宇髄天元さま、お誕生日おめでとうございます🎂🎉🎊
    流れを読まず落とします!

    ⚠解釈違い⚠ピュア⚠長文
    【橙色の奇跡を君に】第1話

    「あの、すみません、すみませーーん!!」
    「ん?私に何か用か?」
    「はい、迷子になってしまいまして。」
    「迷子?」
    「お花畑でお爺ちゃんが待っててくれるらしいんですけど、どのお花畑かわからないんですよー。一緒に探してくれませんか?」
    声からして20代前半、柔らかな空気を纏った女性。お花畑を探してほしいなんて難儀な事だ。橙色のこの時期にお花畑なんて皆無だろうに。
    「私では役に立つまい。見ての通り盲目だ」と手に持つ白杖でコンコンと地面を叩いた。
    「でも声をかけて反応したのあなただけだったから、あなたじゃなきゃ駄目みたいです」まったく厄介な事だな。私の事など何も考えていないのだろう。彼女は「じゃあ行きましょう」と私の手を引っ張り、どんどんと進んでいく。私は深い息を吐き出すことしか出来なかった。
    「わぁ、桜の葉っぱが色づいて綺麗ですよ!えっと…お名前は?」
    「悲鳴嶼行冥だ。」
    「悲鳴嶼さん、ほらっ」カサカサと彼女は私の手に葉を握らせた。
    「これは黄色、こっちは橙色」
    私は瞼の奥に焼き付いている幼い頃に見た桜を思い出した。視力を失う前の事だ。春は桜色のトンネルを兄弟と駆け抜けた、見上げた常磐色と空色のコントラストが美しかった新緑の季節、母と手を繋ぎ歩いた紅色の絨毯、少しずつ遠ざかっていく記憶と孤独さに寂しさを覚える。
    「悲鳴嶼さん、どうしたの?」
    頬を伝う雫を拭うように彼女が頬に触れた、温かい。
    「すまないな、幼い頃を思い出してしまった」
    彼女は何も言わずふわりと私の手を両手で覆うだけだった。

    続きます

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  • 15269. 匿名 2023/10/31(火) 19:58:05 

    >>15267
    ⚠解釈違い⚠ピュア⚠長文
    【橙色の奇跡を君に】第2話

     彼女に引っ張られるまま、お花畑探しは続いた。と言うよりも彼女の行きたいところに連れて行かれたという方が正解だろう。電車に揺られ車窓から入る潮風を目一杯吸い込む。流木に腰掛け、彼女は集めた貝殻を私の掌に乗せた。立ち寄った喫茶店、カフェラテの温かさが身にしみる。彼女が纏う柔らかな空気感に安らぎを覚え、聞こえる無邪気な笑い声に心が温かくなった。こんな気持ちになったのはいつぶりだろうか。だが私は少しずつ彼女に疑問を抱くようになった。まずは電車内での事だ。私に座席を譲った男性は「お一人で大変でしょう。」と声をかけてきた。『お一人』いや彼女が傍にいたはずだ。身体を温めようと入った喫茶店では『お一人様』と案内された。周りの者には彼女が見えていない。彼女はいったい何者なんだ…
    陽がだいぶ傾いたのだろう、冷たい空気が私の頬を撫でていった。
    「君の探しているお花畑は見つかったのか?もう日が暮れる。秋の日はつるべ落としだ。あっという間に暗くなる」
    「まだ。でもね、もうすぐ見つかると思う。もう一人で探すね」
    「お花畑を見つけたら、もう戻って来ないのか?」
    「うん、たぶん」
    私たちを重く冷たい空気が覆った。
    「本当はまだ行きたくないのだろ?黄泉の国へ」
    空気が揺らいだ。

    続きます

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  • 16025. 匿名 2023/11/02(木) 00:15:44 

    >>922
    長文SS総本山に紐つけます
    【タイトル】橙色の奇跡を君に 全5話
    【あらすじ、人物】ハロウィンの日にめぐり逢った悲鳴嶼さんとガル子の不思議な恋の話
    【注意事項(あれば)】⚠解釈違い 
    一話目>>15267

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  • 16831. 匿名 2023/11/03(金) 14:50:42 

    >>15655
    まとめ置き場ありがとうございます。
    トピ主さま、お題主さま、ガル子ちゃん達、ありがとうございました!2週間遅れの参加になってしまい不甲斐ない😵『まとめ』るほどない本数ですが⬇でございます。

    【長文】
    🔥「約束は金木犀の香りにのって」全12話🐚😘>>11405

    📿「橙色の奇跡を君に」全5話>>15267

    【過去】
    Part9まとめ24999、Part10まとめ24192、Part11まとめ20227、Part13まとめ21834

    Part3からの古参ですが、妄想を落とすようになったのはPart4からだと記憶しております。妄想を落とした時の周りの反応が嬉しくて楽しくてどんどんのめり込み、気づけばPart14、もちろん次も参加する予定です。今回はトピがたっていたことに気づかず2週間も経過してしまい、またリアルでゆっくりと筆を執る時間もなかったため2作品のみです。いつも思うのですが、ガル子ちゃん達の文才、画才、感心します。そしていつ来ても、温かく迎えてくれるガル子ちゃん達に感謝いたします😄
    また次も皆さんとご一緒したいです☺️

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