- 
                15181. 匿名 2023/10/31(火) 12:25:44 >>15171
 ⚠解釈違い⚠💎誕生日/3話目
 
 しばらくすると玄関の扉を開ける鍵の音が聞こえ、私はクローゼットで息を潜めた。
 「おい、いるのか?」
 部屋に入ってくる気配と、リビングから冷蔵庫に何かを入れる音が聞こえる。その後で彼が寝室のドアを開け、部屋を覗いた。
 「…まだ帰ってねえのかよ」
 ハァ、と少し長い溜息をつき、寝室のドアは開けたままリビングに戻った。再び冷蔵庫を開けたようで、その後プシュッと缶を開ける音が聞こえた。スマホからだろう、音楽も流れている。
 (絶対今、缶ビール開けたでしょ!)
 自分も飲みたくなってくる。段々、彼の様子を見るため隠れるのがバカらしくなってきた。
 (もう出よう。サプラ~イズ♪って陽気に出て行ったら今なら笑ってくれるかもしれないし)
 そう思い、扉を開けようとした所で彼が寝室に入ってきた。ドキリとして、反射的に身体が固まる。
 
 隙間から、目の前のベッドに彼が座ってスマホを触っているのが見える。誰かから着信があったようだ。
 「御無沙汰しています、宇髄です。はい。ええ、お陰様で。元気にしています。こちらも中々連絡出来ずにすみません」
 誰と話をしているのだろう。口調は明るいが丁寧だし妙にかしこまっている。
 「…今ですか?外出して留守ですが…そうなんですよ、スマホ忘れて出たみたいで。すみません、帰ったら連絡させます。はい…あ、ちょっと待ってもらえますか?これは俺からの相談なんですが、近々一緒にご挨拶に伺いたいと思っています。はい、もちろん、結婚させてほしいという報告です。ですので…」
 「て、天元?!」
 慌てて思わず出て来た私を、ビックリした顔で見つめる彼。
 「……すみません、今帰ってきました。電話代わります」
 彼が私にスマホを渡した。
 「もしもし、お母さん?!」
 
 電話口の母はかなり喜んでいた。
 責任感のあるしっかりした彼を褒め、また私の性格をよく知る母ならではの言葉で、彼を心配させたり困らせる事はしないよう、クギを刺されたのだった。
 
 つづく
 
 +31 -3 
- 
                15186. 匿名 2023/10/31(火) 12:56:00 >>15181
 ⚠解釈違い⚠💎誕生日/最終話
 
 「全くお前は!クローゼットに隠れるとか、マジで何やってんだよ」心底呆れた顔で彼が言う。
 「ごめんなさい…」
 「ま、お前のこういうアホな所が飽きねえよな。怒る気も失せるっつーの」
 溜息を付きつつ、最後は笑いながら私の頭をクシャクシャに撫でた。
 「あの、誕生日なんだけど…」
 彼は無言で私を見つめた。
 「31日は仕事だしケーキ買うくらいしか出来ないけど、その分週末にお祝いしたくてホテル予約したんだ」
 「……そうだったのか。悪かった」
 「サプライズしたかっただけ。出て行ってごめん」
 「いや、お前がそこまで考えてるって事知らずに自分の都合だけ優先させちまった。ごめんな」
 「どうする?」
 「行くよ、喜んで。お祝いしてくれるんだろ?」
 彼が私を抱き寄せて額に軽くキスをした。
 「あと、その、さっきの結婚って…」
 「ちゃんと考えてるよ。俺なりに色々思う事があってさ。今は自分の誕生日よりお前とか仕事の事ちゃんと考えなきゃって思って、一人で何もかもやろうとしてた」
 「そうだったんだ。ごめんね、ホントに」
 「いいよ。脳味噌爆発したお前の面倒見れるのは、俺だけだからな」
 ニヤリと笑う。
 「…いい誕生日にしようね」
 「おう。いつもありがとな」
 私の背中を彼が大きな身体で包み、ギュッと抱きしめてくれたのだった。
 
 おしまい
 
 (天元様誕生日おめでとうございます✨ここまで読んで頂きありがとうございました♡)![]() +39 -3 
削除すべき不適切なコメントとして通報しますか?
いいえ
通報する
 
            