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1259. 匿名 2023/10/08(日) 10:17:07
>>890
【お題】
「お嬢と番犬の推しくん」![]()
+30
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2966. 匿名 2023/10/10(火) 14:35:16
>>1259 お嬢様と番犬
「だ、大丈夫だよ!?コンビニくらい一人で…」
「いえ、仕事ですので」![]()
+30
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3064. 匿名 2023/10/10(火) 20:07:00
>>1259
「行ってきまーす」
この日のために買ったワインレッドのワンピース
彼にもらったペンダントが首元で、イヤリングが耳元でキラリと光る
華奢なヒールのパンプスに足を入れる
「ちょっと待ってくれ。これを」
差し出されたものを見て、一瞬怪訝な目をしてしまう
「え?もうー、心配しなくても大丈夫ですよー」
「いや、今日のガル子はいつもより輝いているから。心配なんだ。でも、同窓会だろう?俺が一緒に行くわけにはいかないから」
「もう、しょうがないですねぇ」
彼が安心するなら、受け取ろう
ホテルのバンケットルームには懐かしい顔ぶれ
みんなめいっぱいお洒落している煌びやかな空間
「わー!ガル子久しぶりーー!」
「久しぶりーー!」
「って!ガル子?ずいぶん変わったネックレスだね…」
『シャーーーッ』
「ぎゃー!!生きてるーー!!」
「こら!駄目だよ!」
『しゅん』
「ご、ごめんね!!彼がどうしても連れて行けって」
「ボディーガードってわけね!愛されてるねー!ごちそうさま!!」+41
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16691. 匿名 2023/11/03(金) 02:57:24
>>1259 お嬢と番犬🍃⚠️解釈違い 1/2
「どうしてくれるのかしら?」
見上げた先で男がめんどくさそうに頭を搔いている。
私は自分を見下ろしてため息をついた。袴の裾にできた大きな染みは先ほどこの男によってつけられたものだった。
雑踏の中から突然現れた彼は焦った様子で私の横を駆け抜けていった。その時たまたま踏みつけた泥水が跳ねたのだ。
むっつりと黙り込んだままの彼にもう一度詰め寄ろうとしたその時、私たちの間に一人の女性が割って入った。品の良さそうな老婦人だった。
「良かった!探していたのよ。あなた、大丈夫だったの?」
彼は彼女に向けて「ああ」と破顔すると懐から財布を取り出した。
「良かった、これ。取り返せたんですけど男は取り逃がしちまって」
「いいのよ、あなたに怪我がなくてよかったわ。ありがとう。取り返してくれて」
ああ、なるほど、と思う。さっきあれほど急いでいたのは彼女から財布を盗み取った男を追いかけていたからだったのか。でもそれなら――と私は口を尖らせた。理由があったのならばそう言えばいいものを。
女性が立ち去ると彼はこちらに向き直った。先ほどまで彼女に向けていた柔らかな笑みはなく、ただただ不機嫌そうに口を引き結んでいる。
「あなたねぇ……」
言いかけた所で彼の背後からぬるりと現れた大柄な男が目に留まった。
「――お待ち」
私の横をすり抜けようとした男に短く言い放つ。意外にも素直に立ち止まった男が、淀んだ瞳でこちらを見下していた。
「今懐に仕舞ったものをお出しなさい」
「……は?」
がさついた声は苛立ちを含んでおりたったの一語で十分な迫力があった。しかしそれくらいで怯む事などしない。私は男を下から睨みつけた。
「あなたが今彼の袂から抜き取った財布を出してちょうだい」
私の言葉に男の表情が変わる。不快そうに顔を歪めながら、しかし豪快に笑って見せた。
「なんだなんだ、人を盗人呼ばわりか。証拠はあるのかよ」
証拠と言われて言葉に詰まる。確かに証拠はない。先刻私の瞳が映したものを見せることなどできるはずがないのだから。
「何ならお嬢ちゃんがその手で調べてみるかぁ?いいぜ、俺は別に」
そう言って胸元を開きながら下品に笑う。私は唇を噛んだ。想像の中では男を蹴り倒してその服を剥ぎ取っているのに、現実の私はなんて非力なんだろう。
「――じゃあ遠慮なく」
「え」と顔を上げると、先程まで静観を決め込んでいた彼が男を背後から羽交い絞めにしていた。
「おい、なんだ」
さすがに怯んだ男が身を捩るがびくともしない。彼が男の肩に顎を乗せてにやりと笑った。
「さァどうぞ、お嬢さん」と促されて戸惑う。彼はふっと笑って男の耳元に口を寄せた。
「……と言いたいとこだがお嬢さんに汚ねぇオッサンの懐に手ェ突っ込ませるわけにもいかねえだろ。ってわけで俺で悪ィな。失礼するぜ」
彼は躊躇うことなく男の懐に手を差し入れる。
「こりゃ一体どういうことだァ?」
くたびれた財布を手に挑発するように笑う彼に、男が舌打ちをした。
彼に目線で促されて、頷く。背後でただおろおろを行く末を窺っていた運転手の方へ向き直る。
「モブ山、この方を車へ」
「なんだなんだ、お嬢ちゃんの豪邸にでも招待してくれるのか?」
「そうねぇ。貴方にもう少し常識と品性があったら是非お招きしたい所だけれど……」
私は屈んで男の顔を覗き込むと、にっこりと笑みを浮かべて見せた。
「残念ね。あなたが行くのは監獄よ」+19
-2
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18027. 匿名 2023/11/05(日) 05:17:34
>>1259お嬢と番犬くんの推し 🌫️⚠️解釈違い⚠️謎設定で無駄に暗い 1/2
「ねえ、本当に行くの?」
こちらを覗き込む顔があまりにも不安そうだから、私はわざと挑発するような物言いをする。
「なぁに?怖いの?無理してついて来なくていいのよ」
「……行くよ。君をひとりで行かせるなんて、そんな事できるわけないだろ」
必死に強がるその様子にくすりと笑う。
幼いころからきょうだいのように生きてきた私たちには明確なが違いがあった。この家の当主の一人娘である私と、使用人夫婦の間に生まれた彼。山奥にある広大な屋敷の中で、私たちは同じ日にこの世に生まれ落ちた。美しい満月の夜だったと聞いている。
家の裏手にある星が丘と呼ばれる小高い丘の上からは、まるでこの世とは思えない程美しい星空が見られるという。家の者からは危険だから決して足を踏み入れてはいけないと言われていた。それでも一度でいいからこの目で見てみたくて、皆が寝静まった深夜、こっそりと家を抜け出る事にしたのだ。
「……本当にすごいね」
ため息を漏らしながら空を見つめる彼の瞳は星を映して輝いていた。
迷いようがない一本道をただひたすらに登った先、突然開けた草原で見上げた空は信じられない程の美しさだった。初めて来たのに間違いなくここが星が丘だと分かる。空を埋め尽くす数えきれない程の煌めきに、私たちは少しの間言葉を失ったままただ茫然と空を見上げた。
「……ねぇ」
思い出したように隣に声をかけると、隣に立っているだろうと思い込んでいた彼の姿がない。慌てて視線を巡らせると、少し離れた所に立つ彼の背が見えた。
「来ないで」
「どうしたの」と言いかけた私を短く制する、初めて聞く強い口調にてびくりと体を震わせた。
目を凝らすと彼の背中越しに闇夜に光るふたつの赤い瞳が見えた。――野犬か。それも一匹ではない。家の者が言っていた危険とはこの事だったのかと今更ながら思う。
「ガル子」
突然目の前が暗くなる。彼が身に着けていた上着を私にかけてくれたのだと理解するまでに随分時間がかかった。「大丈夫だよ」と囁く声はいつも通りの柔らかさで、少しだけ安堵する。
「――ここでじっとしていて」
もうどれくらい時が経ったのだろう。随分と長い間震える体を抱きしめるように地面に蹲っている。
草を踏む音に恐る恐る顔を上げると、彼が立っていた。
「……あぁ、良かった!」
急いで駆け寄ると、彼の体中に飛び散った血痕に気づき青ざめる。
「……その血!」
彼は「ああ」と呟くと目を伏せた。「大丈夫。僕の血じゃない」
「え……」
では、その血の主は――
考えないように頭を振る。羽織っていた上着を彼の肩からかけて、労わるようにその腕を摩った。伏せた睫毛の隙間から覗く瞳が濡れたように光っている。
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