ガールズちゃんねる
  • 1016. 匿名 2023/10/08(日) 00:06:10 

    >>890
    【お題】歌をテーマにした妄想🎹🎤

    歌のジャンルは問いません!⚠️🐚等、必要に応じて付けてください。
    長文、一言、その他何でも🐢でもどうぞ。歌詞をそのまま転載・解釈違いについての言及はお控えください。任意ですが、題材にした歌の題名を記載して頂けると嬉しいです。

    (過去トピのお題主さん達の注意書きを参考にさせていただきました)

    +31

    -1

  • 1029. 匿名 2023/10/08(日) 00:09:59 

    >>1016 歌お題
    ⚠解釈 🕶さん、オンラインオフィスラブ

    クラウド上のファイルを開いた瞬間、BB(Black breathe one's last Boのイニシャル、※deathは物騒だから婉曲表現にさせられた)の黒いアイコンが目に飛び込んできた。

    早速ピンクのGG(Garuko Garuyama)を、BBに近づける。
    ねぇねぇBB、私もそこ触りたいな…
    隣のセルから催促するけど全然どいてくれない。
    BBが居るセルに、ゆっくりと…ゆっくりすぎるくらいにゆ〜っくりと文字が打ち込まれていく。
    もしも〜し?音声入力でもしてるんですかぁ?
    そんなに焦らさなくてもいいじゃない。本当に意地悪なんだから。昨晩だって…おっと、まだ21時前だった。
    もういい!先に他のセルを埋めよう。

    ふと気づくと、BBが隣のセルにいた。
    GGが入力するところをじっと見ている。
    やだ、緊張する…
    何回もタイプミスしちゃう!
    さっきのBBも、意地悪じゃなくてドキドキしてたんだ…
    ああ、もう!大好き!!

    ───いつもの2倍の時間をかけて書き終えたセルで、GGとBBの枠線が重なった

    1分間の秘密の逢瀬♡

    G|G|B|B / M|A|M|A|M|O|O|+

    +18

    -2

  • 1036. 匿名 2023/10/08(日) 00:13:51 

    >>1016

    歌をテーマにしたお話

    +13

    -0

  • 1066. 匿名 2023/10/08(日) 00:33:45 

    >>1016
    ⚓️歌

    +8

    -1

  • 1131. 匿名 2023/10/08(日) 02:15:00 

    お題複合回答
     >>937どれくらい会いたかった?>>1016
    🌈で短いです。曲はアームストロングの同名曲。
    
    【この素晴らしき世界】

    「どのくらい会いたかったか、って?あはっ、可愛いこと聞くねえ」
    「そりゃあ会いたかったさ!会えなかったら?うーん、終わらせるつもりだった」

    「君とのこと?いや、この世の全てを」
    「君がいなければ…とうの昔に壊してしまえた」
     
    「おかげで俺はまだ、諦めきれないみたいだぜ。かくも素晴らしきこの世界を」

     嘯いた彼の横顔に、百年の孤独があった気がしたけど泡沫の一瞬。火影みたいに揺らぎ、虹色の笑みで溶けもう見えなくなった。

    +36

    -6

  • 1433. 匿名 2023/10/08(日) 14:58:10 

    >>1081>>1016
    歌お題×妄想リクエスト

    洋楽なんですが、
    コールドプレイ/Adventure Of Lifetime
    をモチーフにした童磨様の妄想がすごく読みたいです!
    和訳する人によって少しの違いはありますが、彼または彼女に出会って初めて、生きる意味を見出し人生の冒険へ出発するという内容です(ざっくりし過ぎですみません)

    もし良ければお願いします!
    絶対コメントとプラスします!

    +24

    -5

  • 1882. 匿名 2023/10/08(日) 22:37:21 

    >>1016
    【歌お題】

    フゥ…と細く長い息を吐いた。
    目の前に広がるのは真っ黒な暗闇の世界。
    背中からチクチクと草の葉の感触がする。
    この場所から1ミリだって動けない。右足から強烈な痛みが全身を走る。
    あぁ、ヘマをしてしまった。
    鬼からの攻撃をまともに受けてしまい、酷い怪我を負ってしまった。きっと私の右足の骨は折れている。怪我のせいで発熱もしているのか頭がクラクラとしてきた。
    仲間に心配をかけぬよう、隊から離れて何とかこの場所に辿り着いた。ただっ広い草むらが広がるこの場所に。
    このまま…ここで人知れずに人生を終えるのかな。
    ひとりぼっちの暗闇は途端に私の心も暗く閉ざす。
    ぼんやりと見える夜空の星に手を伸ばした。
    こんな事なら、あの人に想いを伝えればよかった。
    いつも背中しか見れなくて、炎を纏いながらすぐに居なくなってしまうあの人に。夜空にかざした手をゆっくり握ると、きらりと星が流れて行った。
    まるであの人みたいだな…
    美しくて、でも決して手に入れる事なんてできない、私の好きな人。
    そんな事を考えながら意識が遠くなるのを感じて来た。
    夜空にかざした手はバタリと草の上に落ちた。

    「大丈夫か!」

    遠くなっていく意識の向こうから声が聞こえた。この声は、何度も頭の中に思い浮かべていたあの人の声だ。
    私、もしかしてとうとう…
    草の上に落ちた手がほんのりと温まるのを感じた。
    何とかこじ開けた目に飛び込んできたのは炎のような美しい金環の瞳だった。
    「炎柱様…煉獄様…なんで…」
    「怪我を負った君がここに向かって行ったのが見えた。鬼はもう倒したので安心してくれ。」
    温もりを感じた手を見ると、煉獄様の手が私の手を包んでいた。大きくて、温かい手。
    あぁ、流れ星ってこんなに温かいんだ。
    このまま、ずっと掴んでいたいな…。
    「煉獄様…私、あなたに伝えたい事があります。」
    反対の手をゆっくりと煉獄様の手に重ねた。
    煉獄様は少し驚いた顔をした後、目を細めた。
    私の手を包む手に力が入ったのを感じた。
    「分かった。さぁ、帰ろう。」
    ふわりと身体が浮き上がった。

    帰ったら、私の想いを伝えよう。
    目を閉じたら、瞼の裏に流れ星が流れるのが見えた。

    流れ星/スピッツ

    +40

    -12

  • 1958. 匿名 2023/10/08(日) 23:35:09 

    >>1016歌お題
    ⚠解釈違い注意⚠何でも許せる方💎微🐚

    (あ──またやっちまった)
    目が覚めて、隣に眠る女を見つめた。
    そっとため息をついて僅かに汗ばんだ髪をかき上げる。
    行きつけの店で何度か見かけるうち、知り合いになった。酒を飲んだ時の明るい感じに好感は持っていたが、友達になる前に寝てしまった。
    (ま、こうなるのは予想通り)
    酒を飲み、会話を交わす内に酔がまわる。さらに潤んだ目で見つめられると堪らなくなった。そして、同じ事の繰り返し…
    俺には女がいくらでも寄ってくる。
    こっちにその気がなくても、女達は手を変え品を変え、俺を誘惑してくる。さらにその誘惑に乗って、その場しのぎの快楽に委ねると難しい事はどうでも良くなるし、ずっとそうやって来た。

    (よく寝てるな…)
    彼女の白い肩や横顔に纏わり付く髪をそっと払う。
    昨夜の2人を思い出した。いい女だ。
    お互い刺激的に楽しめたと思う。
    だが目が覚めた後が面倒なのだ…
    自分で言うのも何だが、正直まだ遊びたい。
    傷付ける気はないが一人に絞るのはまだ勇気がいる。自分の全てを、たった一人に捧げるなんて…

    すると、彼女が寝返りを打った拍子に目を覚ました。
    「おはよ。起きてたんだ…」
    「まぁね」
    彼女に見つめられ、なぜか目が離せない。
    「どうかした?」
    ふわりと笑顔を見せた。途端に居心地が悪くなり、逃げ出したくなる。
    「俺、そろそろ…」
    大抵はこの後『ねぇ、行かないで』って言うだろう。彼女は何も言わず、黙って俺を見つめたままだ。
    いつものように面倒な事から逃げるか。
    それとも、思いきって向き合ってみるか。
    (いや、やめとけ。俺は誰にも縛られるつもりは…)
    心とは裏腹に、目を逸らせないでいた。
    すっかり目覚めた彼女はきれいで、まるで俺は魔法に掛けられたみたいに動けなくなった。

    ブルーノ・マーズ/Runnaway baby

    +31

    -6

  • 3006. 匿名 2023/10/10(火) 18:32:25 

    >>1016

    『本日はお時間を頂きありがとうございました。
     設営については来週の下見の際に詰めましょう。
     よろしくお願いいたします。』
    「…はぁ」
    二か月後の個展。打合せ相手へ定型文のメールを送り、思わず漏れた小さなため息。
    やることはいくらでもあるのだが、どうにも頭が働かない。明日の自分に任せることにして寝室へ向かった。
    広いベッドに横になり天井を見つめる。目を閉じれば、見えてしまうから。

    よくある出逢い、よくある付き合い、そして、よくある別れ。何度も経験したことだったのに、どうしてこんなに未練がましい男になっちまったのかね俺は。

    ガキの反抗心のまま家を出て、絵で食っていくって漠然とした夢を見て、そんな馬鹿な男にも寄ってくる女は結構いて。顔だけは良く生んでくれた親に少しだけ感謝した。
    きっかけは意外と早く訪れた。ある展覧会に出した絵がちょっとした人の目に留まり個展を開くことになった。そりゃあもう浮かれたもんだ。
    ただ、生活は我ながらだらしなかった。絵以外のことには無頓着だったし、時にヒモの様な状態で。馬鹿な男に寄ってくる馬鹿な女もそのうち顔だけじゃ許してくれなくなり、制作に集中するとフラれることの繰り返しだった。
    そんな中で出逢ったひとり。出逢い別れてきた多くの女の中のひとり。それなりにイチャついてそれなりに喧嘩した、普通の元カノのひとり。その一人だけが、何故こんなにも。
    夢が叶った、この言い方も嘘じゃない。でも正確に言うなら…夢を見ていられなくなった。
    ”成功”した今、ただ描きたいものを描いていられる立場じゃなくなった。それに不満を言う程愚かじゃないが、それでもたまに、現実の厳しさってやつにぶち当たる。あの頃は良かったなんてジジイみたいなセリフ、絶対言いたくないんだけど。
    あの頃は…あの頃が最後の楽しい時間だったのかもしれない。純粋に絵が好きで夢中に描けた頃。そんな時に隣にいた女。特別じゃないけど幸せだったあの日々。
    …違う、特別じゃないなんて嘘だ。何をしても何を見ても、何を聞いても思い出す。一緒に過ごした全部、全部特別だった。
    戻れるものなら戻りたい。嫌い合って別れたわけじゃないんだ。…いや、好きだからこそあのままではいられなかった。壊れてダメになる前に離れれば、またそのうち戻れると思っていた。…地味でダセェ。今考えりゃ甘えてただけだ。別れて季節が一巡し、今はお前がどこにいるかもわからない。

    天井を見つめどうにもならないことを考えていたらスマホが鳴った。今考えていた女から、なんて都合のいいことはなく、出会い系の迷惑メールだった。削除ついでに時間を見ればもうすぐ日付が変わる。…寝るか。明日の俺は忙しい。
    電気を消して目を閉じる。…三つ呼吸をした後で目を開ける。
    「あー…クソ」
    予感はしてた。今日みたいな日は特に。
    「描かねぇわけにいかねぇよなぁ」
    閉じた目に見えたそれは、すぐに捕まえないと消えちまう。
    電気をつけてイーゼルとカンバスを用意する。…これメインに持ってこれるか。時間的にはギリギリ、構成ごと変える必要あるな、間に合うか、次の個展に…いや。
    「“今”だ。じゃなきゃ意味がねぇ」
    筆を取る。あの頃と同じように。あの頃と同じものが見えた、今なら。
    真っ白なカンバスに向き合い絵具に手を伸ばす。最初は…これだ。
    「…離さねぇ、二度と」
    “あの頃”を掴むように筆を強く握った。


    シングルベッド / シャ乱Q

    +38

    -6

  • 3197. 匿名 2023/10/10(火) 21:55:12 

    >>1016
    歌お題

    高2の秋。
    最近付き合い始めた幼馴染みで同じクラスの時透無一郎くん。
    彼からの告白で付き合い始めた。

    家に帰ってから毎月買ってる雑誌の占い特集に目を通す。
    自分と彼の相性を見てみたらあまり良くなくてヘコんだ。
    やっぱり、上手くいかないのかな……。

    次の日の朝、むいくんと一緒に登校してる時の事。
    むい「ガル子、おはよ。何か元気ないけど大丈夫?」
    ガル子「おはよ。ん、大丈夫だよ?」
    まさか、むいくんに占いがあまり良くなくてなんて言えない。
    むい「よくわからないけど、いつも買ってる雑誌の占い?」
    ガル子「うん……あまり良くなくてさ。何でわかったの?」
    むい「何年幼馴染みしてると思ってるの?俺とガル子が仲良しならいいじゃん?」
    むいくんの言う通りだ。やっぱり仲良しならいいって思う事にした。
    ガル子「そうだね。これからも仲良くしてね」
    むいくんにそう言うとニコッと笑った。
    むい「こちらこそ仲良くしてね。」

    これからもむいくんと仲良く一緒にいれますように。

    明日への扉/I WiSH

    +21

    -7

  • 4652. 匿名 2023/10/12(木) 22:23:57 

    >>1016 歌お題

    初心LOVE/なにわ男子
    ⚠匂わせ程度の🐚あり

    1ヶ月前幼なじみの炭治郎の告白されて今日初めて手を繋いだ。家に帰り自分の部屋で2人のテーマソング(炭治郎には内緒)初心LOVE聞く

    “初めては全部君だけ”なんて言われたらどうしよう。あの炭治郎に限って絶対にそんなこと言わないけど妄想するのは自由だ
    全部って何だろう?
    手つなぐ、キスする、それから、、、
    あ〜ダメだこれ以上は妄想できないっていうかしちゃいけない気がする

    ベッドに寝転び目を閉じる
    思い返せば小さい頃は手を繋ぐこともあった
    かくれんぼで暗い物置きに2人で隠れたとき怖がる私に
    「どうした?怖いのか?」
    「うんお化けでてきそう」
    「大丈夫だよ俺がいるから」
    私の手を握ってくれたこともあったな
    今なら例えば、、
    「今度親が旅行に行くんだって。寝る時1人で怖かったら炭治郎のこと思い出すね」
    そんなことを言ってみると炭治郎は満面の笑顔で
    「ガル子怖いのか?それなら俺が一緒に寝てやるぞ!!」
    えっ!?なに言ってるんだろう?本気かな?自分の言ってる意味わかって言ってる?
    炭治郎のことだからわかってなさそう?
    「で、でも泊まるのはさすがにまずいんじゃない?」
    「どうしてだ?強がらなくてもいいんだぞ!」
    どうしよう?本当にわかってなさそう
    恐る恐る聞いてみる
    「え?だって炭治郎が私のベッドで朝まで2人で一緒に寝るってこと?」
    少し何かを考え次第に
    顔が真っ赤になっていく
    「大丈夫だよ炭治郎!その気持ちだけで嬉しいから」
    「すまないガル子」
    「ううんこっちこそ変なこと言ってごめんね」
    お互い照れる
    だけど彼は真剣な瞳で私を見つめると
    「でも俺は、それでも構わないよ」
    「え?」
    それってどういう意味?
    「俺の初めては全部ガル子だけ…」

    あーー‼ダメだ妄想止まらない。何考えてんだ自分
    ごめん炭治郎、聞いていた初心LOVEを止め炭治郎鼻がいいから私が変な妄想してるのばれちゃう
    炭治郎の前ではピュアで通ってるのに変態がバレるのはごめんだ
    今日はもう早く寝よう
    つづく

    +31

    -5

  • 5159. 匿名 2023/10/13(金) 21:46:08 

    >>1054>>1016
    己の趣味に全振り×歌お題ミックスSS
    ⚠超・解釈違い⚠不誠実な🔥と💎/煙草の描写あり

    週末のBarカウンターにて

    「君とはもう会わないと言ったはずだ。俺の気持ちは変わらない。すまないが電話もやめてくれ」
    やや一方的に通話終了のボタンを押した。
    (…これでいい。彼女の為だ)
    ふっとため息をついて、目の前に置いてあるグラスを持ち上げ、そっと一口流し込む。一瞬喉の渇きが潤ったように思ったが、流れ落ちるウイスキーはまるで焼けつくような熱さだった。
    (しばらく独りでいるのもいい機会だ)
    誠実さを求められても、今の俺には応える事が出来ないのだ。こんな俺と別れる方がいい。むしろそれが最大の誠実さだろうと思っている。
    たとえ本気の恋じゃなくても、別れの時には痛みを伴う。熱い痛みを喉に何度も落としながら、彼女との思い出に浸ろうとした時、ピシャリと静寂を切り裂く音がカウンターに響いたのだった。
    「もう、あなたなんか知らない。誠実な人だって信じてたのに」
    静かな怒りを声に滲ませながら、白い手のひらが思い切り男の頬を叩いたのだ。男は身じろぎもせず、去ってゆく女の背中をただ見つめているだけだった。
    その後、空気を変えるような明瞭な声で「騒がせて悪かった」と謝り、スツールに腰を降ろす。店内は、まるで何事も無かったかのように静かになった。
    「災難だったな」
    「いや、俺のせいだし仕方ない。派手にやられたけど」男は柔らかな笑みを浮かべる。
    「こんな日は飲むといい」
    「そうするよ」
    2人でグラスをカチリと合わせる。
    「火、ある?一服したい」
    「どうぞ」
    男の咥えた煙草と、自分のにも同じく火をつけ、ゆっくりと味わいながら白い煙が立ち昇るのを見守る。
    男は隣でふぅっと煙を吐いた後、グラスを一気に煽った。
    「…久々に飲むと、喉が焼けるもんだな」
    「たまにはいい」
    無言で時が過ぎる。するとしばらくして、男がぽつりと話し出した。
    「誠実って、何だろうな。少なくとも今の俺には、難しい言葉だよ」
    「…昔、有名な曲があった。君の言葉でそれを思い出したよ。"誠実"とは、何て虚しい言葉だ、ってね」
    「へぇ、聴いてみたいね」
    再び無言で、琥珀色の液体を流し込む。
    不誠実で孤独な者同士、同じ夜に同じBarで隣り合わせるとは───思わず苦笑いしてしまう。

    たまにはこんな夜もいいだろう。

    Billy Joel/Honesty
    (ビリー・ジョエル/オネスティ)

    +33

    -13

  • 5296. 匿名 2023/10/13(金) 23:35:36 

    >>1016
    ⚠️何でも許せる人向け(1/2)


    「───見つけた」

    ある日突然、私の世界は一変した。

    「お前は…小生のものだ」

    ・・・・・

    結論から言うと、私は攫われたようだ。気が付くと見知らぬ部屋にいて、見知らぬ人…いや、人ではない。逞しい体に鼓が付いている、異形の化け物。
    目覚めた私に彼は言った。血が欲しい、と。殺されるのかと怯え答えられずにいると手を取られた。首を切られるか胸を裂かれるかと覚悟したが触れる手は思いの外優しく、小さな傷を付けて流れる血を舐め始めた。殺さないのかと問う私に血が欲しいだけだと答え、暫く血を舐めた後手当てをされた。
    危害は加えない・たまに血を寄越すだけでいい・必要なものは揃えよう・ただし、逃げれば容赦はしない。
    手当をしながら言われたのはそんな内容だった。その言葉通り、その人は数日おきに血を啜るだけだった。
    呼ぶ声は柔らかく、触れる手は優しく、食事も衣服も部屋も整えられて、娯楽として自筆だという書物を与えられ…
    親の手伝いも弟妹の世話も、生きていくための何もかもをしなくていい。攫われる前よりもずっと快適だった。そんな生活で、彼に惹かれるのに時間はかからなかった。

    ある日、何やら揉めている声が聞こえた。部屋から出てはいけないからそっと聞き耳を立てていた。
    『マレチを寄越せ』『渡さぬ』『食わないならいいだろう』『あれは小生のものだ』
    断片的に聞こえた後は変な音がしたきり静かになった。
    内容から察するに、私は「マレチ」というらしい。彼と、揉めていた相手(恐らく異形)は私の血を得ることで強くなるようだ。…あれ?さっき「食わないなら」と言っていたような。
    …だったら。

    +29

    -5

  • 7408. 匿名 2023/10/17(火) 01:06:20 

    >>1016歌をテーマ
    >>1153ポエム


    The Rose / Bette Midler


    人は言う─ あなたは川のようだと
    流れるようにせっかちでその勢いで時に人は溺れてしまう

    人は言う─ あなたは刃物のようだと

    鋭い眼差しと研ぎ澄まされた集中力はまるでそれそのものだ

    人は言う─ あなたは飢えたる者だと
    
満足する事もなく高みを目指し求め続けている



    私は、あなたを花のようだと思う

    まだ芽吹いたばかりの種だけれど、いつか大きな愛を心いっぱいに咲かせてくれる



    人は言う─ あなたは夏の太陽のようだと
    その存在は限りなく眩しく頼もしく、その心はいつも燃え盛っている

    人は言う─ あなたは夏の木々のようだと
    強く真っ直ぐ、生命力に溢れている

    人は言う─ あなたは夏の雲のようだと
    美しく大きな生き様は人を圧倒させる



    私は、あなたを穏やかな季節のようだと思う
    時に暖かくて時にどこか寂しい
    そんな笑顔を見せてくれるから
    春には柔らかく命が芽吹き、秋には静かに葉が落ちていく当たり前の大切な季節

    ─ 私にとって大切なあなたは、そんな人


    +28

    -3

  • 9465. 匿名 2023/10/20(金) 23:33:33 

    >>1054>>1016
    歌お題×己の趣味に全振り🐚

    (あー、仕事だるいなぁ)
    キーボードを打ち、入力内容を確認して間違いがないか画面を指差してチェックする。
    頭の中は彼の事で頭がいっぱいだ。
    彼が私に囁いた事、した事、全てがまだ余韻に残っている。私は早く帰って部屋に籠って、昨日の続きがしたいのに…
    そう思った所で同僚に声を掛けられた。
    「お疲れ!この後、飲み会なんだけど一緒に行かない?」
    「えー、ごめん!今日予定があってさぁ。楽しんできてよ。いい人いたら教えて♡」
    心底残念そうな顔をして答えた。今は飲み会に興味はないが、波風立てず断るために多少の演技くらいは出来る。次に誘われるための保険みたいなものだ。今の私の優先順位は彼だが、今後どうなるかなんてわからない。

    「ただいま…」
    仕事から戻り、暗い部屋のソファーで一息ついた。明かりを点けるのはやめて、コンビニで適当に買ったものでお腹を満たし、風呂まで一気に済ませる。
    (ちょっとだけSNS見よう…彼が来るまで時間あるし)
    再びソファーに身体を投げ出してスマホを眺める。
    許せる限りこれからの時間は全て、彼と過ごす事に使う。後は、彼の帰りを待つだけ…

    「何?こんな暗い所で寝てんの?」
    気が付くと、彼が私の顔を覗きこんでいた。
    「ごめん、うたた寝して…」
    「動くな、そのままでいい」
    彼の唇が頬を撫で、髪をかき分け、私の耳を捕えてなぞる。息遣いが聞こえ、吐息が漏れた
    彼の身体の重みが、まわした腕の強さが、柔らかな唇や舌の感触が、心地良く私を刺激してくる。
    「さぁて。今夜は何をして欲しい?」
    顎をクイと上に向けられた。
    「…ま、その顔を見ればわかるよ。大体ね」
    再び唇を塞がれる───


    ───気が付くと朝が来ていた。
    (途中で寝ちゃったんだ…せっかくいい所まで書いてたのにな。また練り直しか…中々続きが進まないよ)
    スマホに途中まて残された文字が、虚しく続きを待っている。

    妄想疾患■ガール/

    +31

    -7

  • 9933. 匿名 2023/10/21(土) 21:42:57 

    >>3070仕事が恋人
    >>1016歌お題
    長くなったので2話に分けます

    「時透くん、これ会議の資料、緊張してる?」
    「う〜ん、はい。少しだけ」
    「深呼吸、深呼吸!大丈夫。時透くんならプレゼン成功するから!」
    「はい」
    「私が指導したんだもん、絶対勝てる」
    僕は鬼滅商事で働いてる。これから初めてのプレゼンに挑む僕に声を掛けてくれたのは上司のガル田さん
    入社してからずっと僕の片想いだ。
    連絡先を聞いても「社内メールでくれたらいいよ」って躱されるし
    食事に誘っても「同期でいっておいで」とか「家事溜まってるから、今日はパスで」とか
    なにかと理由をつけられては断られている
    男性が苦手なのか?いや違うよな、仕事では僕を含め普通に男女関係なく接している
    僕が後輩だから?年下は興味ないとか?
    それとも、もしかして恋人がいる?
    でもガル田さんの同期のモブ崎先輩を脅して味方につけている僕はガル田さんに恋人はいない事をリサーチ済だ。だけど
    「ガル田には昔付き合ってた男がいたんだよ、だけど仕事と恋…あいつは仕事をとったらしいぜ。詳しくは知らんけど。あきらめろ時透、ガル田は今仕事が恋人だそうだ」肩を叩くモブ崎をジト目で見つめた
    昔の話なんか関係ない。どうにかしてこの上司と部下の関係から一歩進めたいんだよ僕は
    そんな中会議でのプレゼンが認められて打ち上げにプレゼンした皆で飲みに行き、
    一次会で帰ろうとするガル田さんをモブ崎がナイスアシストで引き止め
    僕たち(僕、ガル田さん、モブ崎)はカラオケに来ていた
    お酒が回ったガル田さんはなかなかにご機嫌で
    「私も歌おー」とタブレットをポチポチしてる
    …何歌うんだろ
    続く

    +19

    -2

  • 11184. 匿名 2023/10/23(月) 23:42:10 

    >>1016歌をテーマにした妄想🎹
    ⚠️解釈違い 🍉👮🚓
    1/2

    「よっ、お疲れさん!」

    休憩室でひとり、お昼ご飯を食べていると聞き慣れた声がした。それと同時に、ぽんっ!と頭のてっぺんにあったかいものが置かれたことに気づき、慌ててキャッチする。こんな粋なことをしてくれるのはただひとり。

    「━━━不死川先輩!…わぁ、コーヒーありがとうございます!」

    「おう」と笑ってすぐ隣に座ったと思ったら、私と私の手元にあるスープ春雨を交互に見て、なにやら怪訝そうな表情で尋ねてきた。
    「ガル田、メシそれだけ?足りなくね…?」
    「はい…実はあまり食欲がなくて…。」
    そう。ここ最近は仕事のことで頭がいっぱいで、食堂には行かずに軽食で済ますことが多くなっていた。心なしか、ぴったりだった制服も緩くなった気がする。
    「そっか、なんか心配事?」
    「・・・」
    熱いコーヒーに視線を落とすと、どうしようもなく冴えない顔した自分が映っていた。

    (仕事、辞めたいです)
    そんな言葉が脳裏をよぎる。
    毎日毎日仕事に追われて空回り。余裕が無くて、ダメだしされることばかりで。もし私がいなくなったとしても、困る人はいない…むしろいない方がいいんじゃ…と悪い方向に考えてしまう。
    不死川先輩はつらくないのかな。どうやって乗り越えてきたんだろう。

    「……どうしたら不死川先輩みたいに笑っていられますか?」

    「笑って…?」
    コクコクと深刻に頷く私の表情を察してか、不死川先輩は明るく振る舞ってくれる。
    「それ例えば、んーーそだな。。これ!」
    そう言って飲み干したカップをくるくる回す。
    「?…コーヒーですか?」
    「そ。すげえ苦いコーヒーも、シロップっていう魔法をかければ甘くなるだろ?」
    「・・・」
    「それと同じでさ、つらいとか、辞めたいとか、投げ出したくなるよなブラックな毎日に魔法をかけるんだ!シロップみてえに甘ーい何か…そう、楽しみがあることが大事!」
    「楽しみ…かぁ。不死川先輩の楽しみは何ですか?」
    「俺の?ん〜…非番の日に先パイとツーリング、かな!」
    「ふふ…w先輩とは毎日パトロール一緒に行ってるじゃないですかw」
    「お、やっと笑ったな。他にもあるぜ!釣りとか、草野球とか、焼肉とか、、、

    まんまるの瞳を輝かせ、指折り数えながら語る不死川先輩は、なんだか可愛い。
    うんうんと乗り出して聞いてるうちに、徐々に不死川先輩の顔が桃色になっていくことに気付く。


    少しつづきます☕

    +26

    -5

  • 11188. 匿名 2023/10/23(月) 23:56:50 

    >>1016歌お題(正確には歌ではなくインスト曲です💦)
    🪓 ⚠️


    お風呂あがり、私はベッドにゴロンと寝転んだ。
    今日はまだ月曜日。
    お互い都合が合わなくて先週も会えなかった。学校も違うし、次に彼に会えるのは遊園地に行く約束をしている土曜日。
    まだ日にちがある……。

    もうこんな時間だけどまだ起きてるかな…。
    私はスマホのアプリを開いてメッセージを送った。

    《起きてる?》

    少ししてから返信がきた。
    《うん》

    《電話してもいい?》

    メッセージを送るとすぐに電話がかかってきた。
    「どうかしたのか?」
    なんだか不安そうな声。
    「ううん。ただ…なんか、声が聞きたくなっただけ」
    「なっ…なんだよ。何かあったのかと思って心配しただろっ」
    ちょっと呆れてるような声にも聞こえるし、安心したような声にも聞こえた。
    「ごめんね」
    「電話なんてお前普段全然しないからさ。びっくりさせんなよ」
    「本当ごめんっ。……でも、心配してくれて嬉しい」
    「お前なぁ…」
    「ゆうくんのそういう優しいところ大好きだよ」
    「なんだよ急に」
    「言いたくなったから言っただけ」
    「…ふ~ん」
    ちょっと口は悪いけど本当は優しい人なんだってわかってるよ。照れ隠しなだけなんだよね。

    「ねえ、ゆうくんは…?ゆうくんは言ってくれないの?」
    「…は?何で俺が…」
    「だって……言ってくれないと…寂しいよ…」
    私がそう言うと、電話口から小さいため息が聞こえた。…面倒くさいって思われたかな。
    でも、いつも私ばかり好き好き言ってて不安になってくるんだよ……?


    「…………きだ」
    「え?何?」
    何か聞こえたけどすごく小さい声で何を言っているかまでは聞こえなかった。

    「……すきだっ!もう切るぞ!じゃーな!」
    急に電話が切れた。
    「あっ待っ………もう少し話してたかったのに…」

    +20

    -3

  • 11532. 匿名 2023/10/24(火) 22:13:57 

    >>1016 歌テーマ🍃 ⚠解釈違い

    自分のことは一番後回し。
    そんな人だった。
    自分の傷よりも誰かの涙を心配するような、そんなところが嫌いで好きだった。

    「お前と一緒に過ごした日々が、俺の幸せだ」
    なんて、なんでそんなこと言っちゃうのかしら。
    私は私の希望で貴方にくっついていただけなのに。

    セピア色の手のひらの大きさの中に納まってこちらを見据える貴方に笑いかける夜が辛くて幸せなのよ。
    あまり見ないで、私はもう貴方の記憶にある綺麗だった娘じゃなくなっちゃったんだもの。
    皺くちゃで、縮んじゃった私をそんな風に見ないで頂戴。

    「そんなお前が一等愛しい」
    そんなこと、照れ屋の貴方はきっと言ってくれないでしょうね。
    でもいいの。
    貴方が空に昇ってから、私は一生懸命頑張りましたから。
    そんな私を労ってくれる言葉の一つでも想像してみても罰は当たらないでしょう。

    会いたくて仕方のない日もありました。
    そんな夕暮れ時は一番星に貴方の優しい微笑みを重ねて祈っていたの。
    貴方がどうか、遠い空で幸せでいますように。それから、私を心配していませんようにって。

    貴方の残してくれた宝物はきちんと命を繋いで生きています。
    貴方の面影を受け継いだ小さな宝物は、私の腕には収まり切れない程の数となり、それぞれの色を美しく輝かせています。

    ねぇ貴方。
    私、頑張ったの。
    そろそろ貴方のところへ行ってもいいですか?

    「まだ駄目だ」
    なんて、どうかそんな意地悪を言わないで頂戴ね。

    思うままに動かせなくなってきた身体を精一杯伸ばして、貴方の居る空を見上げるのです。
    貴方。
    私がそこから見えますか?
    会いたくて、会いたくて。
    貴方を想う私の気持ちは涙となって、今日も頬を濡らすのです。


    『涙そうそう』


    +26

    -6

  • 11874. 匿名 2023/10/25(水) 17:29:50 

    >>1016 >>7642🐢ですが歌お題で書きかけていたところ妄想リクエストお題にもなっていたので✨紐付けさせていただきます

    ⚠️粂野さん大正軸×高嶺の花子さん①

    「あ!ガル子さんだ!ガル子さーん!おーい!」
    俺は前方を歩く彼女にぶんぶんと手を振る

    「わぁ!会えて嬉しいな。覚えてます?俺のこと」

    「…粂野くんですよね。実弥くんのお友達の」

    「そうそう!実弥くんのお友達の!」

    「気持ちわりィ呼び方すんじゃねェ」
    後ろからいかつい声が聞こえてくる

    「あ、お前居たの」

    「さっきからずっと後ろ歩ってたじゃねェか。俺にも気付けバカ。それでも甲かテメェは」

    くすくすとガル子さんが笑う。隊服よりも黒く輝く肩までの髪が揺れる。初めて会った時も綺麗だと思ったけど、こうして近くで見るとやっぱり綺麗だなぁ

    実弥が俺と彼女に追いつき、俺の頭にコツンとゲンコツを喰らわせた
    「はいはい、どうせ俺はうかつですよ。次期柱は実弥くんですよ」
    俺は実弥の拳をどけながら拗ねて見せる
    「そうね、みんなそう噂してるわ」
    ガル子さんがうなずく。地味に傷つく
    「あぁ?柱に一番近いのはガル子だろ。鬼の討伐数50体にも、もうすぐ届くだろ?」

    今日は風一門の集会だ。有志が育手の屋敷に集まり、任務や鍛錬の情報交換をする。俺は今日、ガル子さんに会えるのを楽しみにやってきた
    風一門に、甲の女性は1人しかいない。風の呼吸は他の呼吸に比べて荒っぽく、力技が多い。ただでさえ適正のある女性は少ないが、さらに甲まで登り詰めたのはガル子さんが初めてだと聞く

    白い肌に艶やかな黒髪、たおやかで優しげに見えて、戦い方は大胆不敵。憧れている隊士が多いのも当然だ。彼女は風が吹きすさぶ尾根に咲く、一輪の花のようだ

    実弥から彼女を紹介されたとき、俺は動揺した。こんな綺麗な人見たことない。実弥の恋人なのか?
    そう思ったらそうではなかった
    彼女は実弥と同じ町内の出身らしい。かと言って幼馴染では無いそうだ。風の呼吸に入門して、一緒に鍛錬を重ねるうちにその偶然に気づいたらしい
    一目惚れって、本当にあるんだな
    俺はそう思った
    同時に縁の無い女性だなとも思った

    だから俺は、彼女を見かけるたびに、おーいおーいと彼女に手を振った
    彼女が俺のものになるわけない。安心して道化を演じていれば良い

    彼女は想像通り、何回顔を合わせても釣れなかった。彼女は出来た人間だ。もちろん冷たくなんかしない
    彼女は自分と俺との間に、感じ良く距離を置いている。寄ってくる相手へのあしらい方には慣れてるんだろう。うん、それでいい

    そりゃあたまには、何かの魔法で俺のものになったりしないかな、なんて夢くらいは見るけれど
    (つづく)

    +28

    -5

  • 11964. 匿名 2023/10/25(水) 20:42:33 

    >>1016
    歌お題   
    ⚠️ベタな展開です🙇

    「ほら見て、もうこんな色付いてる。」
    君の視線の先には立派な楓の木がある。俺は、この楓の木をよく知っている。
    …そう、100年前から。
    100年前に、この楓の木の下で君に出会った。君が俺が落とした手巾を拾ってくれたのが始まりだった。華奢な白い手で丁寧に汚れを払って「落としましたよ。」と愛嬌が溢れ出すような笑顔で差し出してくれた。
    一瞬でその笑顔に心を奪われた。恐らく、一目惚れだったんだろう。近くの和菓子店で働いていた君は、評判の看板娘だった。俺は菓子を買うふりをして足繁く店に通った。その甲斐あってか2人で出かけられる関係になった。
    夏の青々とした楓の木の下で「木漏れ日が綺麗」と目を細める君、夏祭りに向かう途中、木の根につまづきそうになった君を抱き止めた途端、みるみるうちに真っ赤に染まっていった君の頬。
    鬼殺の事ばかりだった俺の頭の中には君との記憶が増えていった。いつ命を落とすかわからない身である俺は、その記憶を大切に心に刻んでいった。君と過ごした日々は、俺が生きた証でもあるから。
    「ご無事をお祈りしております。私は、ずっとここでお待ちしております。」
    列車の長期任務の前に、この楓の木の前で君に出発を告げた。動揺を必死に隠そうとする君の髪に舞い落ちた赤い楓の葉を取ると、君は恥ずかしそうにはにかんで笑った。
    「愛してる。また、ここで必ず君に伝える。」
    君は静かに頷いた。目尻に少しだけ水分を含んだ瞳を細めたあの時の君の顔は忘れはしない。

    不思議な事に、100年後の今、俺と君はまたこの木の下で巡り合った。俺が落としたスマホを君が拾ってくれたのが始まりだった。あの時と同じように、その華奢な白い手で丁寧に汚れを払って同じ笑顔で差し出してくれた。君だってすぐに確信した。だけど、君には前世の記憶はないようだ。だが、それでいいと思った。また1から君との思い出を増やしていけばいい。そう思っていたはずなのに。
    楓の木を見つめる君が、どうしてもあの時の君と重なって見えてしまった。その瞬間、前世の記憶を思い出して欲しいと思ってしまった。君の髪にふわりと赤い楓の葉が舞い落ちる。
    「付いてるぞ。」
    そう言って楓の葉を取ると、あの時と同じように君は恥ずかしそうにはにかんで笑った。
    「愛してる。」
    思わず声に出した。君は大きな瞳を更に大きくして俺を見つめた。その瞳にはみるみるうちに涙が溢れ出した。
    「私…大切な事を忘れていたみたい…。伝えにきてくれたんだね…。」
    「愛してる。やっと伝えられてよかった。」
    君は静かに頷いた。100年前と変わらない木漏れ日が優しく2人を照らした。

    My Love Song/King & Prince

    +31

    -5

  • 12102. 匿名 2023/10/26(木) 00:52:31 

    >>1016歌お題
    「暁の空に願うこと」①
    ⚠️原作軸を都合よく捏造
    ⚠️よくある展開
    ⚠️愈史郎大正軸
    ⚠️鬼が人を襲う描写あり
    ⚠️今Partで完結できるか未定

    あの時の決断が正しかったのか、いまだにわからない。
    幼かった少女は鬼殺隊の隊服を着て、傷ついた目で俺を睨んでいた。
    5年ぶりの再会は苦い記憶を呼び起こした。

    ─────
    中秋の名月を幾らか過ぎた晩だった。
    田んぼの間の土道を白く照らす月明かりの下を歩いていると、風の匂いが変わった。
    ──甘い。それに…
    風に乗ってくるそれは、明らかに異質な匂いだった。
    ガタン!
    数十メートル先の家の玄関から少女が転がり出てきて、辺りの匂いが一段と強くなった。腰を抜かして後退りする彼女を追って、家から出てきたのは真っ赤な着物姿の女。女が出てきた途端、腐臭がたちこめた。
    あの女、鬼だな。
    黒い髪を振り乱し、口は耳あたりまで裂け、血に染まった牙がのぞいている。異様なのはその後頭部だった。頭の半分ほどもある口が開き、くちゃくちゃと音を立てている。その裂孔から人の腕らしきものがのぞいており、開閉するたびに異臭が吐き出されている。
    戦闘は避けられないか。
    臨戦体制を取るのと、引き攣った顔の少女がこちらを向くのは同時だった。
    ──助けて。
    血走った目を見開き、彼女は声にならない声をあげた。
    鬼がゆっくりとこちらを向き、真っ赤に裂けた口がにやりと笑った。
    「お前も鬼か。この稀血は私の獲物だ。去ね」
    言い終わらないうちに、鬼の髪の毛が触手のように伸び、こちらに向かってきた。
    「ふん」
    遅い。伸びてきた髪の毛の間を擦り抜け、鬼の脇腹を蹴り上げる。ぐぐっと肉が抉れた感触があった。
    そのまま道にへたり込んでいる少女と鬼の間に入り、振り返って間合いを確認する。鬼の腹部の傷はみるみる埋まり、体勢を立て直した鬼の刃物のように鋭い髪の毛は、俺の後ろにいる少女を狙って勢いよく向かってきた。
    振り払った拍子に腕に衝撃を感じ、俺の手首から先が落ちた。地面に落ちた右手の先はすぐに消滅し、手首の先は血管、腱、筋肉の順に再生していく。
    後ろから小さく息をのむ音が聞こえた。
    鬼同士の戦いは不毛だ。いくら攻撃をしてもすぐに傷は治癒してしまう。鬼が消滅するのは陽光に晒された時と、日輪刀で首を切られた時、そして鬼舞辻の細胞が内部から体を破壊する時だけだ。
    となれば……
    敵から目を逸らさずに後退り、少女のそばに腰を落とした。
    「立てるか」
    恐怖に固まった彼女は何も答えなかった。見たところ身体中に細かい切り傷がたくさんついているが、どれも深手ではなさそうだ。
    嫌な鬼だと舌打ちした。おおかた稀血の匂いを楽しもうとでも思って致命傷にならない傷をたくさんつけたのだろう。
    懐から紙眼を2枚取り出し、彼女の額と自分に貼りつけた。指の先から溶けるように身体が透明になっていく。
    紙眼は人の気配や匂いも隠してくれるが、稀血の匂いをどこまで隠してくれるかはわからなかった。
    なにしろ稀血の人間に会うのは初めてだ。
    「逃げるぞ」
    腰が立たない少女を担ぎ、闇の中を走り出した。

    続く 

    +24

    -4

  • 13079. 匿名 2023/10/28(土) 01:17:16 

    >>1016歌お題
    >>13077
    ⚠解釈違い⚠💎
    深夜のドライブデート2話目

    空には月が輝いていた。
    週末の深夜は道が空いていて気持ちがいい。
    車内で音楽を流しながら、天元が軽快なハンドルさばきで運転をする。オレンジ色の街灯が彼の横顔を交互に照らしていくのをぼんやりと眺めていた。
    「何?どうしたんだよ」
    「いや、別にっ」
    「最近さ、気に入ってる曲があるんだよ」
    「へえ、何て曲?言ってみて」
    私はスマホを彼の口元に寄せた。
    「fake face dance music」
    検索結果が出たので、私は言われた通り音楽を流した。
    「…いいね、出だしから。ドライブにピッタリ」
    「だろ?リズム感とか声とか、すげえいいんだよ」
    「うん。なんかクセになる。適度に力が抜けてて心地良い音だね」
    「チルいよな」ふふん、と得意そうに言った。
    「チルいって何?初めて聞いた!」
    「英語のchill out、まったりとか寛ぐ、とかって意味で使われてるんだと」
    他愛ないおしゃべりをしながら、何度も同じ曲を聴いて深夜のドライブは続いていく。そのうち歌詞を覚えて一緒にハモるのもまた楽しい。

    いつの間にか、街の夜景から静かな海岸沿いまでやってきた。コンビニで温かいコーヒーを買い、車を停めてしばし休憩。
    「寒いか?」
    彼が腕を回して抱き寄せてくれた。私は首筋あたりに頭をくっつけて目を閉じる。すると彼は、そっと唇に柔らかなキスをしてくれたのだった。
    「今日は朝帰りだな」
    「だね」
    髪を撫でる手、静かな海。
    水平線がうっすらと、夜明けの準備をする。


    fake face dance music/音田雅則

    +32

    -7

  • 13668. 匿名 2023/10/29(日) 07:28:26 


    >>4060雨宿り☔🍃
    >>1016歌がテーマ
    ⚠解釈違い


    もう、何かを手に入れる事など、無いと思っていた。

    絶望や諦めなどではない。静かな夜を取り戻した代わりに、守りたかったものは全てこの手をすり抜けて。もうこの手が何かを掴む事はないのだろうと、ただ漠然と、そう思っていた。

    全てを灰色に塗りつぶす雨雲の下。外套の襟を立てて、むせ返る程の土の匂いを吸い込んだ。

    雨が降ると、思い出す人がいる。
    出会いはちょうど、こんな春驟雨の日だった。若葉を叩く雨粒の音、揺れる梢、水鏡の波紋。
    突然の雨に追い立てられ逃げ込んだ店の軒下で、ふと追憶を辿る。

    15歳の春。遣いを頼まれ出掛けた先で夕立に遭い、薬舗の軒下に雨宿りした時の事。
    飛沫を上げる足音が近付き顔を上げると、藤色の洋傘が上下に揺れていた。小走りで俺の隣に滑り込み、弾む息遣いが近くなる。
    そして、その傘が下ろされた時の光景は、いつか見た幻燈の様に、鮮やかに俺の網膜に焼き付いた。

    深い紺碧の長羽織に咲く色とりどりの大きな菊花。白、紅、藤鼠の花弁に木蘭の縁どり。桃花色に染まった頬と指先。濡れ羽色の髪先を伝う雫。

    「すみません、お隣よろしいですか?」
    束の間惚けた俺に向けられた、細く柔らかな声。
    「…あ、あぁ」
    俺の間の抜けた返答に、あどけない笑顔が弾ける。
    この瞬間に俺は、雨粒が葉先から零れ落ちるみたいに、恋に落ちた。否、恋と呼ぶには余りにも拙く、幼く、淡い。
    けれども、温かい雨粒は、乾いていた地を瞬く間に潤した。

    続く

    +24

    -6

  • 15389. 匿名 2023/10/31(火) 21:44:57 

    >>1016 歌お題🍃
    ⚠️解釈違い
    ⚠️亡くなっています

    おい、そんなところで泣いてんじゃねェよ。
    俺、しっかり生きただろ?
    一番そばにいたおまえがそんなに泣いてると辛くなんだろォが。

    不安だよな、寂しいよな。
    俺も同じだ。
    でも、俺はいつでもそばにいる。
    大丈夫だ。

    どうやってそばにいるのか…だって?
    知ってんだろ?
    俺は風の柱だったんだ。
    鬼殺の日々を風の如く走り抜けてきた。
    だから風になるのなんてわけねェ。

    俺は風になっておまえのそばで生き続ける。
    どんな時でも一緒だ。

    風が吹かない日は光になって、雨になって、雪になってそばにいる。
    朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も。
    どんな手段を使ってでも必ずそばにいるから。

    ほら、顔を上げろ。
    ずっと一緒にいてやるから。
    俺が風になっておまえを包むから。
    だからそんなところで泣くんじゃねェ。
    笑ってくれ。

    おまえなら大丈夫だ。


    千の風になって/秋川雅史

    +42

    -9

  • 15557. 匿名 2023/10/31(火) 23:26:04 

    >>1016 歌お題
    >>1054 己の趣味に全振り

    Genius そのいち

    信号待ち中、夜空を見上げる
    生まれ育った山と違って、ここは街中で明るいからか星が少ない
    それでもいくつかの星の輝きを眺める
    星の輝きはいつも変わらない

    バイト先のコンビニに着き、いつも通りタイムカードを押してレジに立つ
    深夜帯は客が少ないだろうと思って始めたバイトだったが、思いのほか客が多い
    どうも研究室帰りの院生たちのようだ
    自分もそのうちこの中のひとりになるのだろうな
    「いらっしゃいませ」
    キャンパス近くのこのコンビ二の客は圧倒的に男子学生が多いけれど、女性客もいる
    この女性客はたまにスイーツを買っていく

    「おい、まだ深夜のバイトしてるのかよ?お前朝弱いじゃないか。大丈夫なのか?」
    「にいさん!だって時給が良いから」
    「あんまり無理するなよ」
    たまに顔を出してはおにぎりを買っていく兄
    学部は違うからキャンパス内で会うことはない
    気にかけてくれているのはわかっている
    あんまりうまく感謝の気持ちを示せないけれど

    バイトを終えて店の外に出ると、空は明るくなり始めている
    帰ってひと眠りしたら、三時限目の講義に出なければ

    今夜もバイト先に向かって自転車をこぐ
    夜空を見上げて星の輝きを眺める
    山の暮らしが恋しくならないと言ったら嘘になる
    でも自分で選んだ道だから、この道を進むんだ

    +22

    -4

  • 15666. 匿名 2023/11/01(水) 06:12:43 

    >>1016

    ガル子は虚無顔でキッチンに立っていた

    目の前にはグズグズになったハンバーグ

    (ハハッ、ハンバーグ失敗するなんて女として終わってるわ…)
    ガル子は心の中で自虐をしながら、ボロボロと崩れるハンバーグをお弁当に詰めた

    レンジで簡単に出来るレシピを見て作ったポテトサラダ、プチトマトも詰めて、後は冷凍食品を詰める

    (これが一番美味しかったりしてね、ハハッ)
    また自虐する

    「はよ〜…」
    後藤さんが目をこすりながらキッチンに来る
    「どしたぁ?早く起きて」
    「んー、あぁお弁当作った、でもゴメン失敗しちゃった」

    「えっ!!マジで」
    後藤は目をカッと開く
    「や、でも失敗しちゃったんだって」

    「うわー!すっげぇ彩りもいいじゃん、うまそう、ありがとう…な?」
    後藤さんは無表情のガル子に気づいた

    「ん?どしたぁ」
    「嫌、だってハンバーグ…」
    ガル子はハンバーグを指差す
    「ん?あぁ、形は確かに悪ぃけど、でもすっげー美味そうじゃん」

    俺、ガル子ちゃんのハンバーグ好きなんだよ、とニッと笑う後藤さんの顔を見てガル子は鼻の奥がツンとなる
    後藤さんはガル子をぎゅーっと抱きしめた
    「ちょ!何」
    「ガル子ちゃん最近夜遅くまで残業して毎日頑張ってたもんな、なのに弁当まで作ってくれて本当にありがとう」
    「……」

    後藤はパッとガル子を離す
    「よし!朝飯は俺が作るよ、ガル子ちゃんは朝の支度してな」
    ガル子は無表情で答える
    「…コーヒーはミルクと砂糖たっぷりね」
    「おうっ!」

    後藤さんの入れてくれたミルクコーヒーはとってもとっても甘かった


    🎵FLIPPER’S GUITAR/Coffee milk crazy

    +28

    -4

  • 15775. 匿名 2023/11/01(水) 15:16:58 

    お題
    >>1016歌をテーマにした妄想 精霊流し/さだまさし
    >>1153ポエム

    灯火 1/2

    今年もこの季節がやってきましたね
    色とりどりの灯篭を見ていると
    胸が重いはずなのにその景色に吸い込まれて
    なぜか心に明かりがともるような感じがしたものです

    私を助けてくれた貴方
    家族を失って泣いている私を
    この場所に連れてきてくれましたね
    家族の名前を書いて
    貴方はどうされるのかと見ていたら
    ただ一言鎮魂と書かれていたのを思い出します

    きっとご家族を失って鬼殺隊に入られたのだろうとは思っていたけれど
    貴方の心に深い悲しみがあることまではその時知りませんでした

    流れゆく灯篭を追いながら
    貴方と一緒に歩き続けましたね
    揺れる灯篭のほのかな光に
    沢山の魂が宿ってそれがいつか天に昇るような気がして
    ずっとずっと二人で見つめていました

    あれから一年が経ちました
    私は家族の名前と、そしてあなたが書いた鎮魂と記した灯篭と
    そしてもう一つあなたの名前を書いて流します
    貴方の名前の灯篭は貴方の心のままに真っ白で
    川面に浮かべても
    私の手からなかなか離れず
    暫く私の元でほのかに輝いていました

    やがて流れていく貴方の灯篭を追いかけて
    私はどこまでも歩きます
    泣かないで
    貴方がそう言っているような気がしても
    涙が零れて仕方ありません

    沢山の人混みの中を
    貴方の灯篭を追いかけて歩きます
    沢山の灯篭の中で
    貴方の灯篭を見失わないように

    去年は寂しくても貴方がいた
    色とりどりの明かりの中で
    私は悲しくても心が軽かった

    +22

    -6

  • 15988. 匿名 2023/11/01(水) 23:17:37 

    >>1016
    ⚠️多大な解釈違い・何でも許せる人向け


    貴方と出会った冬
    貴方に恋した春
    貴方を追った夏
    貴方に

    貴方に…


    「言いてぇ事があんならさっさと言え」
    覚悟を決めたはずなのに、その声は簡単に私を揺るがす。
    足が震える。胸が苦しい。このままの方がいいと、弱い心が騒ぎ出す。

    ──私は今日死ぬかもしれない
    貴方のくれた思いを抱え
    ──貴方は明日死ぬかもしれない
    私の抱く思いを知らず

    それでもいい そんなの嫌

    「ねぇなら、いくぞ」
    出会った時と同じ、甘い香りが私を満たす。このまま貴方に酔いしれていられたら…けれど貴方は待ってはくれない。
    私も、もう…逃げない。逃げられない。きっと今日が、私の生涯で一番大事な思い出になる。


    貴方に  を告げる、秋



    aiko カブトムシ

    +27

    -6

  • 16061. 匿名 2023/11/02(木) 02:59:55 

    >>1016歌をテーマに
    ⚠🍃さんが亡くなった後の話です

    吹き玉やさぼん玉、吹けば五色の玉が出る…

    いつか聴いた行商の口上を口ずさむ。
    麦わらの先をしゃぼん液に浸す。唇にはさんでそっと息を吹き込むと、虹色に輝く玉が次々と空へと飛び立っていく。

    緩やかな風に、ゆっくりと揺れながら空へと昇っていくもの。放たれた途端に、飛沫をあげて弾けて消えるもの。
    まるで生きとし生けるもの達の儚い生命のようで、私は、いつまでもそれらを目で追いかける。見上げる先には、高く澄んだ青い空。

    ────いつか、あの人の所まで届くのだろうか。

    『お前は強く吹きすぎなんだよ。貸してみろォ』
    ぶっきらぼうな声と、ゴツゴツと骨ばった手が横から出てきて、私の手から麦わらを攫った。
    巨大瓢箪をいとも簡単に破裂させる程の肺活量を持つ彼が、そっと撫でるように優しく息を吹き込む。伏せられた目、長いまつ毛に、気付けば見入っていた。麦わらの先からは、まるで命を吹き込まれたように、無数のしゃぼん玉が空に放たれていった。

    『わぁ、綺麗』
    ふわふわと風に漂いながら空に吸い込まれていくしゃぼん玉に向かって、ぐんと手を伸ばす。
    『ねぇ実弥、私、しゃぼん玉の中に入って空まで行ってみたい!』
    『お前、ほんとガキみてぇだなァ』
    彼が愛おしげに目を細めた。銀糸の髪が風に揺らめく。私は調子に乗って、もっともっと高く、と、めいっぱい背伸びをした。その拍子に、地面の窪みに足を取られた。
    『きゃっ!』
    大きくよろめいた私を、大きな手のひらが抱きとめ、包んだ。
    『危なっかしいなァお前は、いつまで経っても』

    ──うん、だから、どこにも行かないで──
    困らせたくなくて、飲み込んだ言葉。
    あれから幾つもの季節が巡ったけれど。変わった事といえば、しゃぼん玉が上手く吹けるようになった事くらい。
    あの時と同じ痛みをずっと胸に抱えて、私は今も、あの日のままここに立ってるの。

    ねぇ、空の上から、手を伸ばしてみてよ。しゃぼん玉みたいに高く高く飛んだら、届くんじゃないのかな。
    優しい風で迎えに来てよ。私を貴方の所へ連れてって。青空が好きだと言った私に、泣きたくなる程綺麗な青で包んでくれる、優しい貴方の空へ。
    愛しくて、恋しくて、寂しくて堪らない。この痛みは、いつになったら過去のものになるんだろう。

    手を伸ばした先で、一つの大きなしゃぼん玉が、風に乗ってゆらゆらと飛んでいく。

    お願い。私の想いを、あの人の元へ届けて。
    大好きだよ。会いたいよ。
    でも、もう歩き出すね。いつか貴方に褒めてもらえるように。「頑張ったなァ」って、その温かい手のひらで、頭を撫でてもらえるように。

    願いを乗せたしゃぼん玉は、抜けるように澄んだ青空の中へ、滲んで消えていった。

    【🎵池田綾子/sora】

    +27

    -7

  • 16657. 匿名 2023/11/03(金) 00:56:09 

    >>1016 『歌お題 』&>>5362 『最後の恋』⚠️微🐚

    貴方がくれたたくさんの幸せを
    今も抱きしめ生きています
    口付けしてくすぐり合って迎えた
    二度と戻れぬ幸せな朝を
    今もこうして思い出します

    貴方がくれた「愛してる」の言葉
    それがあったから強くいられた

    今日もまた陽は昇りいつもの一日が始まります
    だけど貴方のいない毎日は
    やっぱり何処か味気なくて寂しくて

    「愛してる」という貴方の声が
    今もこうして耳に響きます
    生まれ変わったらまたここで会おうと
    約束をしたこの木の下で
    私は今日も貴方を待ちます

    貴方は今もそちらの世界にいるのでしょうか
    私を待ってくれていると思っていいでしょうか

    もうすぐ貴方の元へいきます
    鏡に映る私はもう貴方の知る私ではないけれど
    貴方に貰った耳飾りと簪
    それから形見の羽織りを纏えば
    少しは目印になるでしょうか

    どうかまた私を見つけてください

    今も貴方のことばかり想う私をどうか
    相変わらずだなと言って笑って
    その綺麗な瞳で優しく見つめて
    「愛してる」と口付けをして
    つぶれるほどに強く抱きしめて

    そしていつか

    この想いのまま新たな身体をもらえたら
    二人で約束したこの場所で
    貴方とまた巡り会えますように

    スピッツ/チェリー

    +30

    -5

  • 18016. 匿名 2023/11/05(日) 02:54:20 

    >>17927最終回
    >>5362最後の恋>>1016歌をテーマにした妄想
    ⚠初恋⚠己の趣味に全振り⚠🍉キメ学軸、年の差あり(不快な方はスルー推奨、何でも許せる方(ᐡ ̳ᴗ ᴗ)
    【秋がくれた切符】

    ✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。

    あー…この香り。何つったっけ?えっと…

    「そーだ、金木犀。」

    秋空を見上げ、ぽつりと呟く。
    高一の切ない片想いから5年の歳月が流れた。
    初恋の相手は今、俺の少し前を歩いている。

    約2年前の駐輪場での再会から、俺の猛アプローチの末、ガル子先生の特別な存在になることができた。
    もう『先生』と『生徒』の煩わしい関係なんか、どーだってよかった。ただ一人の男として、彼女の傍にいたいし、支え合いたいと思ってたから。
    俺にとっては生まれて初めての彼女で、二人きりでの食事も、デートも、旅行も…ぜんぶが初めての経験だった。
    たとえどんなにツライ事があっても、彼女が笑ってくれるだけで、乗り越えられそうなパワーが漲ってくんだ。

    少し前を行く華奢な背中を見つめる。

    「…ガ〜ル子っ!」

    そう呼んでみても、いつもの返事がない。
    なんでかって?それはケーキの最後の一口を俺が食ったって怒ってるから。
    そんなふうに他愛もないことで喧嘩できる、ありふれた日々さえも愛しいと思う。
    愛嬌のある膨れっ面が見れるのも、俺だけの特権。どんなさり気ない仕草も見逃したくない。

    金木犀の香りを含んだ風が、俺の背中を優しく押してくれる。

    「くしゅッ!」と小さいくしゃみをする彼女。…カーディガンだけじゃ、もう寒みぃだろ。
    思わず駆け寄り、後ろから手を回してぎゅぅっと抱きしめる。それにびっくりして振り向いた彼女のまあるい頬にキスを落とす。
    もぉ〜//と照れ笑いする彼女は堪らなく可愛い。そして耳元で囁く。

    「ガル子のこと、好き。大好き。」
    今まで我慢していた分まで、たくさん伝えたい。
    繋いだ手を俺のポケットに入れてやると、ふふっと笑みが溢れる。
    「玄弥はいつもあったかいねぇ。私も大好き。」

    隣に並ぶガル子の嬉しそうな横顔を眺めては、思い返していた。遠き日の想い出を。
    借り物競争の時に引いたカードが【好きな人】だってこと、彼女はまだ知らねえんだよな。
    あれは神様が俺にくれた贈り物、そう、【秋がくれた切符】みたいなもんだから。
    “初恋"が“最後の恋"に変わるその時が来たら、彼女に話そうと決めてるんだ。

    🍁終🍂

    ✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。

    ♪Mr.Children/秋がくれた切符

    +27

    -5

  • 18535. 匿名 2023/11/05(日) 22:04:46 

    >>9559
    【大正浪漫の館】
    ⚠️⚠️解釈違い⚠️⚠️伊黒先生と事務員がる子 ⚠️⚠️色々許せる方のみ読んでください
    ⚠️⚠️さらに流れを全く読んでなくてすみません…

    一重梅色の矢絣の着物に蘇芳の袴、焦げ茶の編み上げブーツ髪は簪風のバレッタで緩くまとめて、鏡の前で後ろ姿も確認して。
    私がるノ崎がる子は伊黒先生と一緒に本日【大正浪漫の館】に来ております。この施設では大正時代の衣装に着替えて当時の街並みを再現した施設を散策できるところでまずは着替えをしたところ。
    おかしくないかな、どうかな、不安だけどきっと伊黒先生は先に着替えて待っているだろうからこれ以上時間はかけられない💦
    「かわいいですよ~」
    貸衣装のスタッフさんはそう言うけどやっぱり緊張してしまう。でも急がなきゃ。
    「い、行ってきます」
    えいっとばかりに扉を開けて待ち合わせ用の次の部屋へと移動する。
    「…がる子…」
    「お待たせしましてすみません」
    「…いや…待ってなど…」
    先生はハイカラーの白シャツをインにして紫紺の着物に黒紫の袴、涅色のブーツに…縞の羽織を羽織って…首には鏑丸君がいて赤い舌をチロチロとさている。
    やっばり世界遺産だし人間国宝だし文化遺産だわ…カッコイイ…と言うか美しい…と言うか…ああ、語彙力…
    そんな事を考えながら伊黒先生を見ると先生は先生で何か…固まってます?!
    「あ、やっばり変ですか?💦伊黒さんはうつくしカッコイイのにこんな私がいては…」
    「いやっそんなことはない!」
    私の言葉を遮って先生は言った。
    「その…似合ってる…すごく…可愛くて…言葉が…」
    視線を外しながら照れながら伊黒先生はそんなことを言う、いやっそのお顔がまた永久保存版なのですがっ!
    「…いつまでもここにいてもしょうがないな、行こう、がる子」
    さらりと先生が手を出してくる。
    「…はい」
    まだちょっと緊張するけど私、その手を取る。なんだか鏑丸君も嬉しそう。

    大正時代の街並みをそぞろ歩き。
    「飴細工の屋台がありますよ、職人さんの技はすごいですね」
    「そうだな、いつまでも見ていられる」
    先生と鏑丸君と一緒に歩くのはとても楽しい。
    「あっあっちには“シベリア”が売ってある!私食べてみたかったんです」
    「そうだな、一休みするか」
    ねぇ先生、さっきその格好の先生を見た時にもちろんカッコよさとかに悶絶したんだけどね、私ね…
    なぜだかとても懐かしい気がしたの。
    もしかしたらずっと昔に先生と私は出会っていたのかしら。
    その時もこんな風に歩いたのかしら。
    先生の首元で私の方に顔を向ける鏑丸君を撫でながら。
    ねぇ、先生…


    REINCARNATION/松任谷由実
    歌詞の一部をモチーフにしてますのでこちらにもつなげますね
    >>1016
    【歌をテーマにした妄想】

    +24

    -4

  • 18910. 匿名 2023/11/06(月) 02:36:58 

    >>1016 歌お題 ⚠️🐚🌊


    「冨岡くん、"友達"はこんなことしないのよ?」

    薄暗い部屋の中で肩までの髪を結いながら、彼女は鏡越しに俺を見て微笑んだ。

    「…"友達"とは?」
    「うーん…今の私たちのように、体を重ねない関係…かな」

    髪を結い終わると、隊服の釦をひとつひとつ丁寧に留めていく。布団の中からその指先を見て、花びらのようだと思った。

    「行くのか」
    「…うん」

    ──死にに行くようなものなのに?

    口にしてしまいそうな言葉を飲み込んで、最後の釦を留めようとした指先にそっと触れる。

    「冨岡くん…、私はもう、」
    「黙って」

    どうせ言えないなら、と代わりに彼女の唇を塞ぎ、俺を受け入れる気のない舌を強引に奪う。解けないように。結ったばかりの髪を崩し指を差し込んで逃げられないように。

    たったひとりの"友達"だった。「私達、良い友達になれそう」彼女がそう言ったから。たまに会って、お互いの話をして、笑いあって。
    鬼殺に明け暮れる毎日の中の、ほんのささやかな優しい時間。

    その優しい時間を終わらせたのは俺だった。
    「お別れの挨拶に来たの」と言う彼女を夢中で抱いた。
    彼女がこれから何をしようとしているのか聞かなくてもわかるのは、きっと同じ剣士だから。

    覚悟を決めた冷たい彼女を抱いてこの夜が過ぎていく。このまま明けないことを祈るこの心を閉じ込めて、痛いほどの口付けを繰り返して。
    目で耳で口で彼女を懸命に記憶して。

    やがて、彼女の首すじに付いた俺の痕が詰襟で隠されていく。
    花びらのような指先で俺の頬をそっとなぞり「貴方は、生きてね」最後にそんな言葉を残して。
    彼女が開けた襖から流れ込んできた金木犀の香りが俺を締め付ける。

    「──健闘を祈る」

    そうして秋が終わる頃、彼女はもう二度と触れることの出来ない花となった。




    「夜永唄」 / 神はサイコロを振らない

    +29

    -5

  • 19164. 匿名 2023/11/06(月) 14:27:50 

    >>19157
    後書き

     後書きですが繋げ忘れたので、「>>1016 お題、歌をテーマした妄想」に繋げます。コメント先を見てもらえればお話に繋がります。

     改めまして、Bar Antlion(蟻地獄)を最後までお読みくださり、ありがとうございました。何とか完結することができました。

     Part6から続き9、11と長くトピを跨いで時間がかかってしまって本当に申し訳ありませでした。Part6で最初に書いたのは2021年10月23日でしたので、なんと丸々2年もかかってしまいました。長かった……。
     他の長文は基本そのトピで完結していたので、こんなにかかってしまったかと自分に呆れる半面、過去の話をたどればそれぞれのトピの事を思い出す機会にもなり、いろいろな思い出に懐かしさも感じました。
     もとは、Part6の裏話でも書きましたが、テレビ放送で魘夢のアイキャッチにズキュンと心を奪われて、そこからです。伊黒さんと魘夢ちゃんがそれぞれ別々に暗闇に顔が浮かぶ姿が脳裏に浮かんで、そことBad Appleの曲と二人が合わさってこのお話ができました。

     本当はもっと他のキャラも書きたかったのですが、エネルギー不足で思うようにいかず。とにかく一度終わらせた方がいいかと思い、今回強引にですがお話を最後へ持っていき終わらせました。(実は前回のPartで一度終わらせようとしましたが、エネルギー不足できませんでした。)書き切れなかったキャラ、いつか番外編という形でも書けたらいいなと思っています。

     最後の方はpart6の時に既に少し書いていて、なるべくそれを生かしたく文章をあまり変えずに追加しました。ですのでちょっと文章がちぐはぐになっているかもしれません。そして、最後の最後の数行、ハッピーエンドにしたい気持ちもありましたが、テーマ曲のBad Appleが不穏で終わるのでこちらも最後は不穏な感じで終わらせました。その方がきっとこの曲の世界観に合っているかと思います。

     本当に時間がかかってしまいましたが、その間、楽しみにしてくださったり、温かい目でゆっくり見守ってくださったり、読んでプラスやコメントをしてくださったり、感謝で一杯です。皆さんに支えられながら何とか終わらすことができ、思い出深い作品となってとても感慨深いです。

     伊黒さんと魘夢ちゃん、立場も性格も違うのにこのお話ではいい感じで良いパートナーになってくれて、沢山のガル子ちゃん達の幸せを見守れて、大変だった二人もかるないとかるむに再会できて良かったな―――、と自分でも思います。この後の二人はもう幸せ一杯で青春を満喫して欲しいな、うん、大丈夫、そうも思っています。

     最後にすみません、なんと恐ろしいことにタイトル蟻地獄の英語表記が最初から間違っていました。×Antilion 〇Antlion(又はAnt Lion)です。多分、初めの頃に最終話で Anti Antlion(蟻地獄に逆らう(意訳))と書いたので、そのままそれを引きずっていたようです。何度かAntlion(蟻・ライオン)と書いていた記憶はあるのですが、とりあえずタイトルはコピペで使っていたのもあり、ずっと間違っていました。2年間気付かなかった自分が恐ろしいぃ。本日の気が付いたところから直していますのでよろしくお願い致します。

     ここまで読んでくださり、本当に本当にありがとうございました。

    +24

    -5