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10086. 匿名 2023/10/21(土) 22:44:25
>>10079続き
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「…………ここって」
「羽田空港だよ、来たことねェのか?」
「知ってるよ!何それ、普通に飛行機で行け……ってコト!?」
「ほい、旅費の足しにしな」
と言って、男は一万円札を二枚ガル子に寄越した。
「ダメダメ、もらえないよ!あなた一体全体どこまで人がいいの!?」
「じゃあ蟹送れ蟹、ここの住所な」
「蟹ぃ??🦀」
男は作業着の胸ポケットから名刺を一枚取り出し、無骨な指で差し出した。
【不死川工務店 不死川実弥】
「搭乗手続き済ませるまで見ててやろうか」
「心配しなくてもちゃんと飛行機乗りますー」
「向こう着いてもヒッチハイクなんかで移動すんなよ」
「分かってるよ、……涼しいところで頭冷やしてくる」
「体まで冷やすなよ、旅先で風邪ひくと楽しめねェからな、ガル子ちゃん」
「あ……うん、ありがと……」
イケボでのガル子ちゃん呼びに、ガル子はベタにドキッとさせられた。
「あー……あとうちの会社、そのうち事務のバイト募集するから、帰って来て暇なら連絡しな」
「えっ」
「交通費全額支給、昇給・社員登用制度あり……真面目でやる気のある方、な」
「えーっ!結構条件いいじゃん、しかもイケメン親子と働けるなんて天国♡」
「浮かれてるやつは容赦なく落とすからなァ、──ま、気ィ付けて行って来な」
「ありがとう、行って来ます!」
無謀に始めたヒッチハイクは思わぬ形で終わったけど、とっても素敵な出会いに恵まれた。秋の日差しみたいに柔らかな微笑みで見送ってくれたお兄さん──不死川さんに、美味しい蟹を送ってあげよう。北の大地に向かって飛ぶ飛行機の中で、頬を綻ばせるガル子だった。
(終わり)
+26
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10107. 匿名 2023/10/21(土) 22:58:02
>>10086
こんなん惚れるゥ💚絶対就職するわ不死川工務店!+17
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10113. 匿名 2023/10/21(土) 23:02:50
>>10086
私も働きたいからとりあえず北海道で🦀漁してくる+14
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