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10081. 匿名 2023/10/21(土) 22:41:32
>>8790
⚠️解釈違い
長文🌊⑤現代
「極光が走る夜」
土曜日の朝、一人暮らしを始めて3年目のリビングルームで私は微笑していた。手に昨日付の領収書を握りしめて。
━━━昨日
課長から、溜まっている有給休暇を消化するように言われたその帰り道のことだった。
旅行会社の店先に置かれたディスプレイのツアー広告動画に目がとまった。その小さなディスプレイに映る映像を見た瞬間に、頭のてっぺんから足先まで電撃が走ったようにそれに惹きつけられてしまった。
入店したカウンターでそのツアーの話を聞いてみる。初めての海外旅行、話を聞くことでその不安は和らいだため申し込みをした。
ふと、パンフレットに印字された文字を見つけて聞いてみた。
「極光って何ですか?」
「それはオーロラのことですよ」
申込みは勢いだったけれど、あの映像の"動く光"に本能で惹かれたと言っても大袈裟ではない。
手に握った領収書を見る度に、本当に行くのだということを実感する。
「オーロラ…見られるかなぁ」
1人旅の北欧オーロラ鑑賞ツアー。どんな旅になるのか想像もつかない。そこで私は何を見ることができるのだろう…。
ツアー当日、手続きを済ませて無事に搭乗した飛行機にて。
3人席の窓側の席に座った。初めての場合は通路側をお勧めされたが、窓からの景色を見たかったから。
3人席で座っているのは私だけ。このまま横の2席が空席かと思った直後に、長い髪を結んだ青年が1つ空席を挟んだ通路側の席に座った。
会釈をしたが、こちらを見ていない。まあいっか。
機内アナウンスが入り、出発時間が近づく。楽しみと緊張が混ざった気持ちが増してきた。
窓の外に向かって、数日間行って来ますと呟いた。
続く+22
-4
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10798. 匿名 2023/10/23(月) 00:48:16
>>10081
⚠️解釈違い
長文🌊⑥「極光が走る夜」
初めての長距離1人旅。約1万メートル上空の機内で私は困っていた。お手洗いに行きたいのだけど…隣は空席で問題ないけれど、その隣の通路側に座る人が爆睡している。起こしちゃうのもなぁ…。仕方ない、失礼します。立ち上がってその爆睡している人を極限まで避けて通路に出た。フガッと聞こえてその人が起きてしまった。
「すみません!!」
下げた頭を上げると目が合った。私はそのままお手洗いに向かってしまった。あんなに端正な顔の人が通路側に居るなんて。格好良かったな。でも毎回通らせてもらうので通路に出にくいなぁ。
用を済ませて戻るとその人は起きていた。一声かけて前を通らせてもらった、その時
「鰤大根……」
そう聞こえた。振り向くとその人が私を見ている。鰤大根は美味しいと思うけども、誰が鰤大根ですか失礼な。着席してまた声が聞こえた。
「俺は…水汲みを手伝いながらいつか鮭大根がまかないで食べられると思っていた。しかし結局出なかった…」
ひとり言を言っているのかと思ってその人を見ると、私を見ていた。やだ怖い。
「鮭は手に入らなかったのか?」
まだ続いている怖い怖い。あまり続くなら乗務員さんを呼ぼうかな。
「……覚えていないのか?」
口調が変わった。真剣な表情だったので、頷いて返事をした。
「そうか…」
その後、旅の最終目的地を聞かれたのでスウェーデンです、とだけ答えた。覚えていないのかと聞かれたが、言われた言葉に心当たりがなかった。
それから話しかけられることはなく、お互いに爆睡して乗り継ぎ地に到着した。
続く+29
-3
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