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10053. 匿名 2023/10/21(土) 22:22:03
>>9994
>>4227⚠️大正悲恋>>1054趣味に全振り>>2514第三者目線>>5362最後の恋⚠️なんでも許せる方向け
岩柱が浪費家の若い女に入れ込んでしまう話
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女は柱の手を取って自分の頭に寄せて「見て」と言った
「今日はね、ラジオ巻きにしてみたの」
柱が髪型を崩さないようにそっと触れる
「器用だな、綺麗に結えている…これは」
「この前買って頂いた別珍のリボン。深緑色。森の一番奥の色よ。
帯は、あなたのストールと同じ梅幸茶色。歌舞伎を観るからちょうどいいわ。
羽織はね…」
柱がふいに、コートの裾を広げ彼女を覆う
「なぁに、行冥さん」
「…いや、ここは往来だったなと。」
そうなのだ。やっと気づいてくれたか。
さっきから二人はかなり見られていて、だからこっそり伺う俺も目立たないのでそこはいいんだが。
二人は橋の欄干に凭れて昼間から戯れているふしだらな男女、のようにしか見えない。
往来を行く者は、男が目が見えないために女が着飾った自分を教えているとはわからないだろう
見えない男のために、女がどれだけ着飾っているかなど。
「気にしないわ。私は。」
女がくすくす笑ってコートにすっぽりと収まる
「少しは気にした方がいい」
柱が困ったように笑った
愛おしくて仕方がない、というふうに
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