- 
                7466. 匿名 2022/10/19(水) 06:53:23 >>7465
 
 🔥と私の話①の続き
 
 席に戻ると、隣の席の営業マンがお酒も手伝ってか距離が近く話しかけてきた。
 
 「もー待ってたよ。長いこと居ないから寂しくて。」
 酒くさい息が顔にあたって一瞬、顔を顰めたくなったがいつもみたいに作り笑顔で、作った高い声で話した。
 
 「ねぇ、前からずっと思ってたけどガル子さんって可愛いよね。彼氏とかいないの?」
 
 この営業マンは、確か私の同期と付き合っているはずだ。
 そんな事を聞いてどうするつもりなのか。
 面倒だからいると答えた方がいいのだろうか。
 
 「ガル子くんには彼氏がいるぞ!」
 
 いつの間に戻ったのか、席の斜め前から煉獄課長が声をかけた。
 「えっ?まじ?ショックだわー。課長はガル子さんに彼女が居るの知ってたんです?」
 「ショックも何も君は彼女がいるだろう!」
 「いや…」
 
 罰が悪そうに営業マンが近づいていた距離を離した。
 
 煉獄課長を見ると素知らぬ顔でレモンサワーをグビグビと飲んでいる。
 なんだか癪だが、面倒だったから少し助かったと思った。
 
 続きます+37 -4 
- 
                7696. 匿名 2022/10/19(水) 19:20:38 >>7466
 
 ⚠️なんでも許せる方向け
 
 前の話のセリフ「えっ?まじ?ショックだわー。課長はガル子さんに"彼女"が居るの知ってたんです?」
 はガル子さんに"彼氏"が居るの知ってたんです?の誤字です…💦
 誤字王で申し訳ない…
 
 🔥と私②
 
 二次会に行く人が殆どだったが、私はもちろん帰ることを選択した。
 
 「えっ、帰るの?一緒に二次会行こうよ」
 先程の営業マンがこの期に及んでかなりしつこかったが「明日、彼氏とデートで朝早いんです」と言うと押し黙った。
 最初から彼氏が居ると適当に嘘をついていれば良かったと今更だが少し後悔した。
 本当の自分を偽っているくせに、人に嘘をつくのは苦手だ。
 矛盾しているが、父親が嘘ばかりついて結局家を出てしまったきり帰って来なかった事が思い浮かんで胸が苦しくなるからだ。
 
 駅に向かう途中で携帯が鳴った。
 表示を見ると"煉獄課長"からだった。
 そういえば飲み会の後、話がしたいと言われていたっけ…
 明日の土曜、一緒にキャンプに行こうと誘われ何度も断ったがもう予約をしたと言われ強引に予定を捻じ込まれている。
 話があるなら明日でもいいのに…
 一体何を話すと言うのか。
 
 電話に出るか迷ったが、かなり長い時間ふるえ続ける携帯に渋々出た。
 
 「もしもし…」
 「君!今どこにいる?」
 「今、○△駅へ向かう途中です。」
 「そこにいてくれ!すぐに行く」
 「あの…話なら明日…」返事をする途中で電話が切れた。
 
 同じ会社で上司だからあまり波風を立てたくなかったし、そちらの相性が良かったから関係を続けてきたがそろそろ離れた方がいいんだろうな…。
 
 「いっそ転職しようかな…」思わず呟いた。
 少し待つと、走ってきたのか息をきらした煉獄課長が私の肩を叩いた。
 「すまん!待たせたな‼︎」
 「いえ…二次会に行かなくて良かったんですか?」
 「明日、キャンプで朝が早いだろう?早く帰って準備もしたいからな!夜はカレーにするか?瓦そばにするか迷うな!新しいメスティンを買ったからやはりカレーだろうか?」
 「……」
 話とはまさかキャンプの調理メニューの確認だったのか?
 居酒屋でやたら突っかかって来たのは何だったのだろう。
 
 「話って、キャンプの事ですか?」
 「ああ!そうだ!やっぱり君は普段の声の方が何倍もいいぞ。無理して笑ったり作り声で話す君よりな!」
 
 他人に本当の自分を見せるのが怖い。
 作った自分なら、本当の自分じゃないから嫌われても、傷つくこともない。
 貼り付けたような笑顔も声も私を守る鎧なのに、都合がいい関係なだけのこの人がそれを暴こうとするのはなぜなのか。+31 -5 
削除すべき不適切なコメントとして通報しますか?
いいえ
通報する
