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22176. 匿名 2022/11/05(土) 21:22:32
>>21640 お題 🍁狩りバスツアー
(流れ読まず今さら朝のお題を投下します。しかもお題はあまり関係ないかも💦長いので2部に分かれます)
(前半)
今日は転職して初めての添乗員デビュー。
上野から大型バスで30人以上のお客様を乗せて出発する。
途中いろは坂でシーズン真っ只中の紅葉狩りをしてお昼を食べ、日光周辺を観光して戻ってくる日帰りツアー。
お客様が集まる前の早朝、集合場所に出向いて今回のツアーでお世話になるバスの運転手さんにご挨拶に。
「あっあのバスだ…」
前日会社から指示されていたナンバープレートのバスを見つけ、運転席に座る男性の姿を確認して前ドアから乗り込んだ。
「おはようございます!本日ご一緒させていただきます、がる山がる子です!初添乗のため至らない点が多々あるかとは思いますが、安心安全な楽しいツアーにできるよう精一杯がんばりますので、ご指導の程よろしくお願いします!」
緊張のため素っ頓狂な声が出てしまい、ちょっと引かれている気配を感じて冷や汗が出る。
「あぁ…よろしく」
一言だけ答えてくれると、運転手さんはすぐそっぽを向いてしまった。
もっと落ち着いたトーンでいけばよかったとシュンとしながらタラップを降りるとき、背後で「初めてかァ…」と低く呟く声が聞こえて青ざめる。
ちらっと様子を伺っても帽子を目深に被っていてよくわからず、眼光鋭く行程表を睨んでいて話しかけるなオーラをものすごく感じる。
会社から聞いていた運転手さんの名前も、不死川さんって…もう漢字もご本人の雰囲気も怖くってどんよりしてしまった。
幸い会社が担当させてくれたのは、バス旅行に参加し慣れたリピーターさんばかりのツアーで年配の方が多く、出発直後の自己紹介の際に初添乗ですと話しても「添乗員さんがんばれー!」とあたたく野次を飛ばしてくださるような方たちばかりで、運転手さんへの恐れはすぐ忘れてしまった。
何より、午前中だけでも2度も不死川さんに助けられた。
お客様とバスから降りて歩いて観光先に向かおうとしたときに、座席に残っていた私のスマホに気付いて走って届けてくれたり。
予定外のタイミングでお客様が急にトイレを希望され、私が慌てて電話で会社に指示を仰ごうとしたときに、不死川さんがすぐ大型バスが停められてトイレを借りられそうなお店を教えてくれてお客様にもスケジュールにも事なきを得ることができたり。
そして1番驚いたのが、何人かのお客様と男女問わず親しげに話す姿を見かけたこと。
お客様方にお聞きしたところ、何度も当社のツアーを利用されているうちに同じ運転手さんに当たることに気付き、話しかけてみたらあちらも覚えていてくれて、以来同じツアーになる度によく話すようになられたとか。
私がわかりやすく意外だという顔をしていたようで、ひと組のご夫婦のご主人の方がニヤリと笑って「怖えだろ、実弥チャン」と仰った。
「…さねみちゃん?」
「あの兄ちゃんの下の名前だよ。運転席に貼ってあるだろ」
…ホントだ、気付かなかった。
「顔に傷あるしなぁ、大抵の添乗員さんやバスガイドさんはビビってる感じだな」
「そうそう、でもいい男なのよねー」
「あの顔であの名前、んでもって甘党だしな」
「あっはっは、そうなのよねー」
そんな話を聞いた後、帰りのサービスエリアでのトイレ休憩のとき、スタバで温かいコーヒーを買って運転席の不死川さんに差し入れた。
(つづく)+22
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22181. 匿名 2022/11/05(土) 21:25:21
>>22176
(後半)
「午前中は色々ありがとうございました。これ、お礼です、よかったらどうぞ」
少し目を見開いてこちらを見られて初めて、あ、かっこいい顔してると思った。
「当たり前のことをしただけだァ…んなもんもらう筋合いは…」
「でも私にとってはとても心強かったんです。甘い物お好きだと聞きました、キャラメルマキアート、苦手ですか?」
半ば押しつけるように温かい紙カップを手渡す。
「これからまだ上野まで安全運転していただかないといけないので、少しでもお疲れをとってください。そろそろ皆さまがトイレから戻られるので旗降ってきますっ」
少し強引だったかなと思いながら言い逃げしてドアの外に出た、顔が熱かった。
11月は夜が早い。
暗くなってからバスは無事上野駅に到着し、次々とお客様がお帰りになる。
全員降車されたことを確認し、忘れ物がないか座席を調べていると、不死川さんに声をかけられた。
「がる山さん、最寄り駅は何線?」
「えっ?京王線ですけど…」
「じゃあ通り道か。新宿まで送ってくからそのまま座ってろォ」
「ありがとうございます…」
回送モードになったバスは客席部分の電気が消えて、運転席付近だけが明るくぼんやり浮かび上がる。
少し気恥ずかしい思いで、運転席近くの補助席に座った。
「どしたァ静かになっちまって。さすがに初添乗で疲れたかぁ?」
「はいさすがに…。ほんとに色々ありがとうございました」
「コーヒーありがとうなァ、気ィ使わなくてよかったんだが…それより俺が甘いモン好きだって誰から聞いたァ?」
「あー…◯◯様がさねみちゃんは甘党だからって…」
ギロっと睨まれた。
「すみませんっ!口が過ぎましたっ」
「やっぱりあのおっちゃんか、あの野郎、次会ったら余計なこと言うなって言っとかねぇと…」
「でも不死川さん、リピーター様の心を掴んでらっしゃってすごいと思いました。尊敬します」
「なんでか俺にもよくわからねぇけどなァ。それよりアンタの連絡先教えて」
急に話題が変わって混乱する。
「はい?」
「アンタの会社と俺んとこのバスよく組むからよ、またどっかで一緒になるだろ。アンタんとこのツアーは大体把握してるから、何か困ったことあったら連絡しろォ。運転中以外なら力になるからよぉ」
「あ…ありがとうございます…」
新宿に着いて、LINEを交換した。
「あの、すみませんでした。正直朝は不死川さんのこと怖いと思ってしまって…。でも今日一日ご一緒できて嬉しかったです。またよろしくお願いします!」
「あぁ…俺の方こそ無愛想で悪かったな。初対面で笑っちゃ失礼だと思ってよォ」
「…笑う?」
「いや、綺麗な姉ちゃんが急に駆け込んで来たと思ったら、選手宣誓みたいな声出すからよォ。ガキの運動会かって思ったら笑いそうになっちまって顔背けちまった、悪かったなァ」
思い出したのか、不死川さんがふっと笑った。
笑うと幼く見えて、こんなに可愛いなんて!ずるい!!
「んじゃあな、またよろしくなァ」
「はい!不死川さん!今度デート誘ってください!!」
渾身の大きな声を出すと、不死川さんが目を丸くしてまた笑ってくれた。
「おう!今度甘味屋付き合えよォ!」
(おわり)
(🍃さんで初めて書きました。違和感あったらごめんなさい🙏)+26
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23074. 匿名 2022/11/06(日) 16:52:05
>>20282
フライングまとめ置き場ありがとうございます❗️
前々回から彼トピを知り、恐る恐るガヤから始め、段々と図太く参加させてもらうことが多くなりました。ほぼ最推しさん妄想ですが、彼トピのお陰で他の彼さん方の魅力にも沢山気付き、今回からほんの少しだけ妄想対象を広げさせていただきました。
来られるタイミングに偏りがあり、コメント頂いたのにお礼できていないうちにあっという間に流れてしまうこともあり心苦しく思っています。誤字脱字、ズレてる回答も多くてすみません。最終日までガヤはさせていただくかもしれません。
プラスやコメントくださった皆さま、ときめく妄想・楽しい妄想を沢山読ませてくださった皆さま、本当にありがとうございました!!
次回もよろしくお願いします!
(前回part9は24586です)
【お題回答】
💎さん
>>1948 SSハンドクリーム
>>2478 元恋人が言いそうなこと
>>3084 レゴを踏んだ推し
>>4444 一言で惚れさせる
>>4707 ダイエット
>>8025 メリバ?⚠️🐚長文5話大正軸・音柱と藤の花の家の孫娘のお話
>>10409 歌お題カメレオン長文4話
>>11159 SS慣れてる
>>15025 SSハロウィン待ち合わせ
>>15961 ダメ男(というかクズ男)
>>18120 ⚠️🐚子猫ちゃん
>>18921 雑になった推し
>>19502 あと一押し
>>19894 >>19913 >>20001 bokete
🌊さん>>3063 スーパーへのご意見箱
🍃さん>>22176 紅葉狩りバスツアー全2話
妓夫太郎>>2083 昔話や童話ノートルダムの鐘
【単発?】
💎さん>>1190 生搾りサワー >>12022 ただいま >>16760 BDおめでとうコメント
キメ学先生たち>>12945 布団ひっぱり込み考察+29
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25741. 匿名 2022/11/09(水) 09:46:35
>>25706さん
ひぃえ〜😱ご指摘ありがとうございます!!!
22179さんごめんなさい!!大変失礼しました💦
>>1058
>>25651
アンカー先間違えてしまっていたので再紐付けです、すみません。
【紅葉狩りバスツアー】全2話
添乗員がる子と大型バスドライバー🍃さんのお話
第1話>>22176
+12
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