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246. 淀川長治 2015/06/18(木) 21:42:33
しかし日本ではそのファンの狂気がモンローひとりを襲ってしまって、ディマジオの不キゲンたるや見栄も外聞もない。私は男のエゴをこれくらいハッキリ見たことはなかった。モンローはそのディマジオに気がねのありったけを示した。天下のマリリン・モンローが。
1956年のバス停留所。1957年の「王子と踊り子」。そして惜しくも遺作となった「荒馬と女」の……これらのモンローはすでに第一級の女優の貫録を示してあまりある見事さだった。モンローは決してセクシィ女優ではない。モンローは「アクトレス」、モンローは「演技女優」の域に達していたのに!惜しい!
私はマリリン・モンローのすべての映画を愛している。マリリンが出演して失敗した映画は一本もない。そして「王子と踊り子」以外は一本も共演者に食われたことはない。
モンローはニューヨークのブロードウェイの舞台に立つべきであった。アーサー・ミラーと結婚するよりもエリア・カザン監督を求めて映画に主演する努力をすべきであった。しかしモンローにそのような強いファイトがあるわけではない。いつまでもヌード・カレンダーにこだわっていた女なのだから。
このモンローをいまさらにスキャンダラスにセキシィの影の中に押し込んで、それを伝説にしようとする非情を私は恨む。
(没後10周年によせたコラム「フィルムの泡から生まれて消えたビナス」より抜粋)+3
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