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451. 匿名 2014/04/02(水) 12:30:07
「クジラが増えすぎると魚が減るからクジラを間引かなければならない」
これを言い出した日本鯨類研究所のキャッチフレーズは、同研究所のHPによれば
次の通りです。
『鯨類が1年間に世界で食べる餌の量は2.8から5億トンにのぼり、これは、世界の海で
人間が獲っている魚の量(9000万トン)の3~6倍にあたります。』
この短いフレーズは厳密に読まないと誤認に陥ります。 と言うよりも誤認に導かれるのです。
第一にここで言う『鯨類』は決して『鯨』ではありません。 これには漁業との競合が問題にならない
マッコウクジラや主題から外れるイルカ類が含まれています。
第2にここでは鯨類が食べるとされているのは『餌』であって『魚』ではありません。 ここには
人間の漁業の標的となっていないオキアミや深海性軟体動物などが含まれています。
それでは我々のイメージするIWC管轄の大型ヒゲ鯨に限り、対象を『魚』に絞ったらどんな
数字になるのでしょうか?
このキャッチフレーズの踏み台になっている鯨研研究者の論文は次のものです。
「Competition for food in the ocean. Man and other apical predators. T.Tamura」
これによれば大型ヒゲ鯨の魚の消費量は毎年1300万トン~2400万トンとされています。
人間が獲っている魚の量が9000万トンだとすればその14~27%にしか相当しません。
これが少ないとは必ずしも言えないにしても到底3~6倍などではありません。
人間の漁業が廃棄している雑魚の量より少ないのです。
ところで序でに南極捕鯨についてコメントさせて頂きます。
水産庁は殊の外南極にご執心です。
鯨の魚食害が問題であり鯨を間引いてこれを解決しようというのならば、さぞや水産庁お気に入りの
南極にはイワシやサンマが沢山居て、それをミンクやザトウやナガスがもりもり消費しているのでしょうか?
そうではありません。 南極にはそんな魚は居ません。 ご存知のように ミンクやナガスやザトウは南極で
オキアミと呼ばれる小型の甲殻類を食べており、魚とは無関係です。
南極には海流の関係から数億トンとも言われるオキアミが大量発生します。
南極で餌を摂る鯨達は、南極の夏の間このオキアミを食べ栄養分を皮下脂肪として
体に蓄えます。 南極が闇に閉ざされる冬になると鯨達は暖かい赤道方面の海に
回遊して、そこで交尾や出産など繁殖活動を行うとされています。 そして信じられないことですが
この間中、鯨達は絶食するのです。
そして南極の鯨は決して遥々日本近海にやって来てイワシやサンマを食べたりはしません。
上に掲げた研究でも南極のヒゲ鯨は事実上オキアミしか消費しないことになっています。
それでは鯨と人間の漁業は全く競合していないのかと言えば、そうではありません。
北太平洋や北大西洋では確かに限られた範囲で競合があるようです。
然しそれならばそれにふさわしい問題提起があるべきで、鯨類つっこみで魚、軟体動物、甲殻類
無差別に全世界の人間の漁業水揚げ9000万トンと比較するのでは、科学者集団である
日本鯨類研究所としては如何にも非科学的で乱暴な事と考えます。+4
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