ずっと忘れられない夢

[90. 匿名]

ちょいグロで長文注意

19歳のとき戦国時代あたりと思われる戦場の夢を見た。
夢の中で私は男だった。雨が降りしきり泥沼のような最悪の足場、悪天候で灰色の空は重く空気は冷たかった。私は赤い甲冑の、足軽姿でいた。
夢の中で私は家に残してきた妻と生まれたばかりの赤子と母を思ってた。別れ際の心配に潰されそうな顔をした妻を思い出して胸が傷んだけど、万が一自分がここで死んでも、賠償があるから残してきた家族は暫くの間は食べられるだろうと算段してた。併せて、男手が無くなったらもっと大変だろうとも思いながら。戦に出たのは家族の食べ物のためだという思いがあった。
開始の合図があり突撃応戦、何人か切って、横からきた刃をすんでて交わしたところで泥濘に足をとられ横転、立て直す間もなく槍を持った敵に脇腹を天から突き刺すように貫かれて目が覚めた。
飛び起きてから暫く武器を探してた。クローゼットも棚も全部あけてぐちゃぐちゃにしたところで気がついた。ここは平成で、そして平和だ。武器は必要ない。
魂の記憶があるとするならあはれ私の前世だと思う。あまりにも全てがリアルだった。そして夢の中の彼は19歳で死んだ。