がるちゃん恋愛小説を作る
95コメント2017/03/25(土) 13:06
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95. 匿名 2017/03/25(土) 13:06:43
暖かな思いやりの言葉をかけられてガル子は嬉しく思うと同時に不意に涙が込み上げた。
ガル子はこの涙の意味を考える。
人の優しさに触れると勿論嬉しく有難い。
その気持ちに嘘はない。
しかし嬉しい気持ちが湧き上がったその少しあとに込み上げるこの気持ち…
この気持ちの正体は何なのか。
ガル子は窓を少し開けた。
早くに目覚めてしまった朝方の空気はまだ冬の名残の静かな冷たさを含んでいる。
ガル子は大きく空気を吸込み深呼吸をした。
しかしそれはまるで深い溜息のようでもあった。
まだ薄暗い空をぼんやりと眺めながら考える。
優しさに触れた後に訪れる一抹の寂しさ。
有難いのに嬉しいのに、何故か反動としてなお一層寂しくなるのだ。
優しく声をかけてくれたあの人の心は柔らかなふかふかの布団のようだ、とガル子は思った。
きっと眩しい陽射しをたっぷり浴びているのに違いない…
それに比べて今の私は冷たく湿気た布団だ…自分でも重苦しくて嫌になる。
ガル子はきつく目を閉じた。
きっと私、あの優しい人が羨ましいんだわ…
そして淋しいんだわ…
優しい人に触れると嬉しさのあとに自分の心の空虚さに改めて気づくのかしら。
楽しい祭りの後の寂しさにも少し似てる。
友達に愚痴って鬱憤を晴らしたはずなのに、家に帰った途端、急に寂しくなる時のように。
「ふぅ…かなり参っているわね、私…」
46才という自分の年齢。
ずっとカレシもいなかったのに、突然現れたあの人と恋に落ち勢いで結婚をした。
恋愛に免疫のないガル子にとって目まぐるしい出来事であった。
恋と愛は違う。恋愛と結婚は違う。
それなりに耳年増にもなり友人達の話などで聞いていた。
けれどいざ自分自身のことになるとまるで分からないことばかりだ。
夫と知り合った頃は夫の色んなことが知りたかった。自分のことも知って欲しかった。
知れば知るほど距離は近づくと思った。2人の絆は強くなるものだと思い込んでいた。
愛は深まってゆくはずだと信じ込んでいた。
「でも…」
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